盗撮の罪は「法定刑としてはかなり低い部類のものだと理解されている」
弁護士法人リーガルプラス市川法律事務所(千葉県市川市)の小林貴行弁護士は、4月24日、J-CASTニュースの取材に対し、異なる罪を比べて重い、軽いを判断することは「難しい」と見解を示す。
小林弁護士は、「性犯罪、盗撮はもちろん重大な人権侵害ですので、被害者の方を傷つけてしまうような重大な犯罪だと私は思いますけれど」としつつ、法律によってそれぞれの犯罪に対する法定刑がそれぞれ決まっているといい、「法定刑の中でどれほど悪質かというところを見ていく」と説明。
「被告人が犯した罪がどのような罪に当たるのかを出発点にして、その法定刑は何年から何年なのかがまず決まり、その法定刑の中で被告人の犯した行為が重い部類なのか軽い部類なのかを判断します。これに、過去の前科や本人の反省態度などといった一般情状も加味したうえで、最終的に何年の懲役に処するか、罰金はいくらにするか、などといった処断刑が決まってきます」
今回の渡辺被告の場合、法定刑は懲役15年が上限だ。詐欺、詐欺ほう助、脱税は最も重いものでも懲役10年が上限だが、複数の罪に関わっていることから、上限が伸びるという。
一方で、四谷大塚の元講師は盗撮の罪に問われたが、これは懲役3年が上限だ。小林弁護士は、これを規定している性的姿態撮影処罰法は23年施行と比較的新しく、それまでは各都道府県の条例により処罰されていたとして、「これまでの歴史的な流れから、そもそも盗撮という行為自体が、法定刑がかなり低い行為として規定されている」と説明した。
なお、小林弁護士は、「法律自体は国会で決まるので、例えば『盗撮の罪に対して最大3年はちょっと軽すぎるんじゃないか』という世論が多くなれば見直しがなされたり、あるいは『詐欺の10年は重すぎるんじゃないか』という議論になってくれば短くなることもあり得ます。それは政治が決める話だと思います」と変更の可能性についても解説した。