シアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさん(50)が、SMBC日興証券が2024年4月15日にYouTubeで公開した「おしえて!イチロー先生!リターンズ」に出演。先生役となって生徒の悩みや質問に答えた。
イチロー先生は交渉が得意?
「おしえて!イチロー先生!」は、イチローさんが、教壇に立ち、みんなのリアルな悩みや質問に真剣に答えてくれる人気シリーズだ。2020年に続く第2弾となった。
動画では、イチローさんは黒板に「イチロー(51)今はまだ50」と書き、「イチローです、今年51歳。まだ50です」と、現役時代に背負った「背番号」にかけて、生徒たちに自己紹介をする。
見どころはいくつかあるが、1限目は「おかねの時間」。ここでは、小学3年生の男の子の「お年玉に1万円をもらったのですが、イチロー先生が僕の年齢だったら、1万円を何に使いますか?」との質問に、次のように回答した。
「僕が野球を毎日始めたのが3年生の頃です。6年生の時に、実は道具、グラブを買ってもらいました。そこから僕、道具を大事にしたり、物を大事にしたり、今までなかった気持ちが生まれてきて、それは早い方が良かったなという気持ちがあります。3年生の頃にもし1万円のいいグラブを持っていたら、3年生から大事にしたと思うんですね。だから、僕ならいいグラブを買います」
また、副担任役の元放送作家・鈴木おさむさん(51)が「年俸の交渉ってあったと思うのですが、先生は交渉得意ですか?」の質問。
イチローさんは「時間をかけられると集中できないので、短時間の交渉なら。キラーフレーズをポーンと放り込むのは割と得意」と回答。その上で、キラーフレーズを出した場面について次のように語った。
「最も大きな交渉は僕が3年目のシーズンを終えたシーズンだったんですね。それはレギュラー1年目で、色々な記録を塗り替えて、ここで年俸交渉をしくじると、その後にも影響すると」
当時のイチローさんは、まだ年俸800万円だったという。
「これ(この年俸)をどこまで(上へと)もっていけるのかと。当時、オリックスというチームは、野球を知っている人は知っているけど、あまり知られてなかったんですよ。お客さんも実際に入らなかったし、そういうチームだったんですよ。今日のイチローはヒット何本目などと言って、テレビで紹介するわけですよ。その時に『オリックスのイチローが』と必ず『オリックス』って使うわけなんですよ。この『宣伝効果はいくらだと思っているんですか』って言ったんですよ。これが効いたらしいです。結果、給料は10倍になりました。8000万円になりました」
挑戦すると「お金で買えないものいっぱい得られますよ」
2限目の「みらいの時間」もユニークだ。アメリカで俳優をやりたいと思っている男性からの「新天地に向かうべきなのか迷っている」との悩みに答えた。思えばイチローさんが大リーグ挑戦を表明し、ポスティングを利用して海を渡ったのは2000年。28歳の時だった。
「それでやめておこうかなと思うのであれば、それまでです。強い信念があって目標があるなら、行くんじゃないかな」
イチローさんはそう回答。さらに男性に向かって「どう?もう出発する?」と水を向け、
「思った時に行って、何があるか分からないけど、外に出て悪いことは絶対にないからね。視野が広がるし、大変だけど、価値観も変わるだろうし、それこそ、お金で買えないものいっぱい得られますよ」
と付け加え、最後には「どうぞ」と今すぐ教室を出て、出発するように促していた。
「年齢と共に衰えるという定説はね、もう僕にとっては当てはまらない」
最後に、「これだけは絶対にやっておきたいことはないですか?」という質問に対する、イチローさんの言葉を紹介したい。イチローさんは次のように回答した。
「今、僕ピッチャーもやるんですけど、3年前、2年前までスピードで135キロの壁があったんですよ。50歳になった年に138キロになったんです。意味が分からないでしょ。50歳になったのに、年を重ねているのに4キロアップってけっこうな数字で。何でかはよく分かっていないのだけど、そういうことが起こるんですよ、やっていたら。だから年齢と共に衰えるという定説はね、もう僕にとっては当てはまらないことなんですよ。だからそこにトライしたい。人の能力の可能性に挑みたい」