いまどきの若手社員に対して、上司はどう接したらいいか。
若手向けの就職支援事業を展開するジェイックの調査によると、20代求職者の「上司に希望する育成方法」は1位「強みや個性の活用」が52.2%となり、2位は「キャリア希望の理解と支援」で24.3%という結果が出た。
昭和的な価値観だった「多くを語らず、背中(上司の仕事ぶり)で示してくれる」は2.2%、「叱咤激励(叱るように励まし、奮い立たせる)してくれる」が1.5%と、のきなみ低い。
つまり、かつての「指導」に慣れた上司にとっては、いまどきの若手社員の指導方法にはかなりのアップデートが必要だと見ていい。
では、若手社員とはどう接したらいいのか――。調査元であるジェイックの常務取締役・近藤浩充さんにベストな方法を聞いた。
「指導」という考えでなく、「育成」という考え方にアップデートを
ジェイックのサービスに登録した20代求職者136人を対象にした今回の調査では(2024年2月1日~3月5日に実施)、上に挙げたような「上司に希望する育成方法」を選んだ理由についても質問している。
それによると、「安心して働きたいため」が45.3%、「自分らしく働きたいため」が43.1%、「楽しく働きたいため」は32.8%、「スキルアップ/成長したいため」が31.4%だった。
思えば、上司にあたるミドル世代やシニア世代は、「会社の色に染まれ」という指導もなされてきたのではないだろうか。
いまや、これまで受けた指導は通じない。ジェイックの常務取締役・近藤さんは、J-CASTニュースBizの取材に、若手の成長を促すためには、「指導」という考えでなく、「育成」という考え方にアップデートすることが必要だと指摘する。
「『こうしなさい』、『ああしなさい』という指導とダメ出しから一歩進んで、若手社員ができている部分をフィードバックで『承認』しながら、相手の価値観に沿った『育成』をおこなう――これがいまの若手からは求められています」
「成長実感や責任を持てる職場であれば定着率は高まる」
その際、相手の価値観を理解するために必要なのが「対話」だ。若手と上司が対話を進めることによって、「若手の進みたい方向性」と「上司がやってほしい方向性」を紐付けていくことが重要だという。いま、上司にはこうした「対話力」が求められている。
たとえば、目標設定の場面。ここでも、機械的に人員に数字を割り振るのではなく、若手が達成可能な目標について「どうやれば達成できるのか」を、上司と部下が「対話」を通じて考え出すことが必要だ。
そして、若手の行動を促す「話し方」も大事になる。そのためには、「結論から提示するというコミュニケーションから少し変えて、自分の体験や事例を示しながら、『こういう方法で、こういう結果になったけど、どう思う?』などと問いかけ、相手の主体性を引き出し、指導によるやらされ感を出さないことが育成方法のキモです」と近藤さんは語った。
そうすることで、若手が長く職場に定着する可能性も高まりそうだ。近藤さんは「職場に定着するかどうかのエンゲージメントは必ずしも上司だけによるものではありませんが、成長実感や責任を持てる職場であれば定着率は高まるでしょう」と説明した。