労働分配率をみると、正直、もっと出してもいいが...
夏のボーナス見通し、ほかのシンクタンクより高い予想になったのは、なぜなのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめた日本総研調査部研究員の北辻宗幹(きたつじ・かずき)さんに話を聞いた。
――民間企業で1人当たり支給額が3.5%増の約41万1000円という予想の数字ですが、ズバリ、喜んでいい数字なのか、それとももっと上がっていいのに、とガッカリする数字なのか。どちらですが。
北辻宗幹さん 今年の春闘賃上げ率が5.24%増(連合の第3回回答集計)と、想定よりかなり高い数字です。このくらいのボーナス支給額は出てもいいものだと思いますから、喜んでいいでしょう。
ただ、労働分配率をみると、大企業、中小企業ともに下がっています。このグラフを見ると、正直、もっと出してもいいのかな、という気持ちはあります。特に大企業では、直近の2023年10~12月期では約45%に下がっています。
足元の賃上げ率は3.6%増と、やはり春闘で30年ぶりの「歴史的賃上げ」と非常に高かったですから。
――労働分配率は、ざっくりいうと企業がどれくらい人件費にお金を回しているかを示す比率ですよね。それがなぜ、この時期に特に大企業でドーンと下がったのでしょうか。
北辻宗幹さん 急激な物価上昇分を価格転嫁に回したり、海外進出をしている企業が多いですから、円安の影響も大きく受けたりしたと思われます。そのため、期待されたほどには賃上げは弱かったのでしょう。