何歳まで働きたい?「いつまでも」が20%! 世界で日本だけダントツに多いのは勤勉な国民性?老後の不安から?/リクルートの宇佐川邦子さん

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前向きに働くシニアの姿を見て、将来の働く自分の「見える化」に

――ところで、現在のシニアの人たちが前向きに「いつまでも働きたい」と考えている理由はわかりましたが、今回の国際比較の調査は20歳から59歳までの現役世代が対象です。

この中には、就職氷河期を過ごしたロスジェネ世代(40歳~54歳)も含まれています。「失われた30年」で日本経済は停滞しました。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、1990年から2020年の間に日本人の賃金(USドル換算)は約2倍にあがりましたが、アメリカとドイツは約4倍、イギリスとフランス、韓国は約3倍に上がっています。

就職活動、さらに社会人になっても苦労したロスジェネ世代にとって、「老後に不安があるから働き続けなくてはならない」とネガティブに考えている人が多いということはありませんか。

宇佐川邦子さん ロスジェネ世代は、人口のボリュームが大きいです。一定の割合で公的年金への懸念を持つ人がいるなども言われておりますが、それでも私は、「ずっと働き続けたい」というポジティブな考え方のほうが勝っていると思っています。

もちろん、「お金のために働く」という人もおられるでしょう。しかし、さきほどの当社の「シニア層の就業・意識調査2023」(複数回答可)でもそうでしたが、「生計の維持のため」と答えた人は、同時に「社会貢献のため」「人の役に立ちたい」「視野を広げたい」とも答えているのです。人間が働く理由は1つではありません。

現役世代も、いつまでも働き続けたいとポジティブに考えているはずだと、私が考えている理由は、いまの若い世代はまわりに生き生きと働くシニアの人々を日常的に見ているからです。

定年が60歳から65歳に延長され、職場にもシニア層が増えました。ニコニコ笑って仕事をしている姿を、若い同僚が「可愛いおばあちゃん」「カッコいいじいさん」と見ている。そんなふうに、頑張っている高齢者を身近に見ることはとても大切です。将来の働く自分が「見える化」されているからです。
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