学校・家庭で親子一緒に正しい使い方を考えよう
――リポートには、「親の属性」と「親が考える子のICT機器を使うことへの期待と不安」との関連が多く見られたとありますが、親は生成AIに関してはどんな不安を感じているのでしょうか。
水野一成さん 調査では生成AIの利用に関する不安を直接は聞いていません。ただ、生成AIの賛否に影響を与えた不安は「友人との間でトラブル」「個人情報の漏洩」「不適切なサイトの閲覧」との関連が見られました。これは、子どもがインターネットを使うことに対する、親の共通した不安のトップ3です。
そこから推察するに、生成AIへの直接的な不安もありますが、インターネットを使うことによって「何かトラブルに巻き込まれるのではないか」という不安を抱いている親が「反対」を表明していると考えられます。
――ところで、生成AIの利用率では中学生が8.2%と、親より2倍以上高い結果がでています。年齢制限や親の同意が必要なのに、問題はないのでしょうか。
水野一成さん どのような利用をしているかまで聞いていませんが、親がわが子に学びのため、積極的に使わせている可能性もあります。ですが、子ども自身が口コミなどで使うようになり、親の同意をとっていない可能性もあります。
また、親自身も自分が利用したことがないものに対して同意の判断をしなくてはいけない困難さがうかがえます。
――今回の調査を通じて、学校教育で生成AIを導入するにあたり、どんな課題があると考えますか。
水野一成さん 調査からは、特に子どものICT利活用、ICTリテラシーと親の生成AI導入の賛否との関連は見られませんでした。わが子の情報活用能力に合わせた判断というよりは、親自身のICT利活用の割合などが賛否に影響を与えていました。
課題となるのは、親も子どもも生成AIの仕組み・問題を理解しないまま利用を開始し、ファクトチェックをせず、その結果が正しい、と鵜?みにし続けてしまうことがあると考えます。
今後、学校・家庭で一緒に正しい使い方を考える状況が生まれていくことが望ましいのではないでしょうか。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)