小中学校などの教育現場で導入が検討されている生成AI(人工知能)。子どもが利活用することについて親はどう思っているのだろうか。
NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年4月11日に発表した調査「小中学生の親が回答 生成AIを学校授業で活用することに賛成37%」によると、「賛成」が「反対」を上回ったが、「わからない」と迷う親が4割以上いる。
しかも、ICTスキルが高いはずの若い親ほど「わからない」と答えた人が多かった。いったいなぜ? 専門家に聞いた。
若い親ほど「生成AI」利用に迷っている
ChatGPTやBing Chatなど生成AIの教育現場の導入に関しては2023年7月、政府が小中学校での活用に関する「暫定的なガイドライン」を発表、リスクに対応できる一部の小中学校で試験的に取り組みが始まっている。
また、また、生成AIの活用にあたっては、多くのサービスが年齢制限や保護者の同意を必要としている。
モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、関東一都6県の小中学生とその親600人が対象だ。
まず、小中学生の親に学校の授業で生成AIを活用することの賛否を聞くと、「賛成」が37%、「反対」が21%、「分からない」が42%に達した【図表1】。
興味深いのは、親の年齢が低くなる(若い)ほど「わからない」人の割合が高くなることだ。34歳未満では76%に達する一方、50歳以上では34%だけだ。
また、「賛成」と「反対」の割合を比較すると、年齢が低い親のほうが、「賛成」の割合が多くなる。34歳未満では「賛成」が「反対」の3倍以上だ【図表2】。
この背景の詳しい分析は、教育メディア研究学会の「学校の授業で生成AIを利用することへの親の賛否及び特性」で報告しているが、親の年収・学歴・年齢などの「属性」や「親のICTスキル」「親が考える子がICT機器を使うことへの期待と不安」との関連が多くみられた。
最後に学校の授業を問わず、小中学生とその親に生成AIを」利用したことがあるかを聞くと、まだ利用率は低かった。小学生低学年が1.6%、小学生高学年が2.5%、中学生が8.2%、そして親が3.9%という結果だった【図表3】。
小中学生が生成AIの活用する場合、保護者の同意を必要するサービスが多いなかで、中学生では親の利用率を上回っていることが目立つ。