アニメ界「月間225時間以上労働」5割、「年収240万円以下」4割 業界からは「全てが悪循環」

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スキルの底上げ、人材育成が必須

   それでは、アニメ業界をどのように改善すればよいのか。福宮さんは、まずは業界全体のスキルの底上げと、そのための人材育成を重視する。一定のクオリティー以上の素材を描ける人が増えることで、無駄なリテイクや時間、労力、発注費が減っていく。

   教育の一環として、NAFCAは24年に「アニメータースキル検定」を実施する予定だ。これは、アニメーターの基本になる「動画担当」に必要な技術と知識をレベルごとに測るものだ。

   アニメの技術や知識を継承できなくなった理由は、リテイクの増加によるベテラン層の長時間労働に加え、アニメ制作本数も近年急増したためだ。また、特にコロナ禍以降のリモートワークの増加で、仕事場で集った人たちから得られた知識も受け継がれなくなった。

「初めに動画を学ぶことによって、原画担当や撮影など他のセクションにも共通する技術と知識を習得できます。アニメータースキル検定や検定用の教科書を通して勉強してもらうことで、今の状況を前向きな方向にしていきたいと思っています」

   また、一定の条件以下の仕事は受注してはいけないというガイドラインを作ることも必要ではないかと、福宮さんは提言する。ガイドラインによって制作費は上がっていくことや、今まで安い制作費で依頼していた顧客が撤退することも考えられる。

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