4月は新入社員の季節。同じ年次で入社した社員たちは「同期」と呼ばれ、職場や仕事の違いを超えた仲間として扱われる。
ともに研修を受けたり、新しい生活の不安を打ち明け合ったりする貴重な関係だが、この「同期」に冷水をかけるようなポストがXに投稿されて注目されている。
「今の時期の新人社員は飲み会がたくさんあって『同期最高!』みたいになってるけど、そのうち激務で疲弊したり転職したり結婚したりして誰もそんなこと言わなくなります」
「最初は大学ノリで飲み会乱発するけど自然消滅」
同期入社は、上司や先輩・後輩のような上下関係の気を使う必要がなく、本音でつきあえる関係になりやすい。飲み会で将来の夢を語り合い、気分が高揚して「うちら同期最高!」となることもあるだろう。
しかし時間が経ち、仕事が忙しくなったり立場が変わったりすると、「同期最高」などという人もいなくなる――。Xには、そんな投稿に賛同する人が相次いでいる。
「これめっちゃわかる。最初は同期と大学ノリで飲み会乱発を結構やるけどみんな現場の激務で誰も連絡取らなくなって自然消滅するやつ」
「新社会人てまだ学生のノリが抜けてないので、同じサークルの仲間みたいな感覚なんですよね。実際には、そのうち同期会なんてやらなくなります(笑」
「うんうん。新人の頃とか同期最高とかの雰囲気あったけど、どうせ今だけ...ってどこか冷めた目でみてたんだよな。笑 転職したり、結婚したりで残ってる同期は、半分もいないよ」
いくら絆が強くなったように思えても「せいぜい最初の数年でしょうね」という人も。その一方で、「同期」のよさ、大切さを語る人もいる。
「入社して10年以上経ちますが、激務で疲弊しても結婚して子供が産まれたいまでも、同期最高!って今でも言ってます」
「苦しくても同期だから分かち合えることは沢山ある その関係性を維持できればかけがえの無い仲間となる」
「二十年目『草野球楽しい!飲み会楽しい!同期最高!』←今ココ」
人事担当者「インフォーマルネットワークは大事」
都内のIT企業の人事部に長年勤める女性Aさんは「同期入社はかなり大事なんですよ。バカにできません」と明かす。
「就職氷河期は、部署で1人ずつしか新人を採用できませんでした。そうすると孤独感を募らせてやめてしまう社員が結構いたんです。そこでできるだけ複数採用にしたり、人数が少ないうちは新人を特定部署に集めたりして定着を図ったものです」
人事の世界では、組織図にはのらない非公式のつながりを「インフォーマルネットワーク」と呼び、Aさんの会社では、そのような関係構築を促進する取り組みを行ってきたという。
「入社年次で集まって、ホテルに泊まり込みでコンプライアンス研修をしたり、マネジメント研修をしたり、その後に懇親会を開くとか。お互いの悩みを打ち明け合ったりすると、会社への帰属意識が高まり、もうちょっと頑張ろうと思えたりするようです」
ライフイベントが多く発生する年代では、確かに同期との飲み会どころではなくなる時期もある。しかし、それを超えればまた元の関係を取り戻すものだという。
「Xの投稿の逆の話になりますが、激務で疲弊したり、転職する人が出てきて不安が高まったりしたときこそ、同期の関係ができていれば乗り越えられるものです。愚痴を言ってガス抜きをしたり励まし合ったり。そういう話ができるのは、同期だけなんじゃないでしょうか」