ゲームセンターの倒産や休廃業解散が、2023年度に計18件発生し、過去5年間で最多を記録した。調査結果を発表した帝国データバンクによれば、ゲームセンターの店舗数は10年間で8000店近く減少している。
なぜ、店舗数は右肩下がりになっているのか。アミューズメント業界の発展を目指す日本クレーンゲーム協会(埼玉県行田市)の広報担当に詳しい話を聞いた。
個人経営の小規模ゲーセンは経営厳しく
帝国データバンクの調査結果は、2024年4月7日に発表された。ゲームセンターは直近5年間では、店舗数が3割減とも。近年はクレーンゲームが主流となり、格闘ゲームなど業務用の大型ゲーム機(アーケード機)を主とする店舗レイアウトでは集客力の維持が難しいという。
日本クレーンゲーム協会広報は取材に対し、ゲームセンターの店舗数減の要因を3つ挙げた。(1)娯楽の形態変化と多様化(2)個人店の閉店や施設の老朽化(3)人件費や物価、輸送費の高騰、だという。
1つ目の「娯楽の形態変化と多様化」。1980年代は、家庭用ゲーム機「ファミリーコンピューター」やゲームセンターのゲームが一般的だった。現在では、ゲームセンター以外でも楽しめる娯楽が充実している。カラオケやボーリングのゲームがつくられ、家庭用ゲーム機が進化、また携帯ゲームやスマホゲームが登場した。
2つ目の「個人店の閉店や施設の老朽化」。広報は、街にある個人経営の小さなゲームセンターが多かったため、店舗数も多かったのではないかと推測する。現在では、経営的に厳しい状況を迎えていたり、テナントビルが老朽化していたりすることで、閉店する店もある。
3つ目の「人件費や物価、輸送費の高騰」。コイン投入口に入れられる硬貨が決まっているため、料金を変更するとしても100円単位で値上げするしかない。そのため、高騰分を価格に反映させることが難しいという。
クレーンゲームが人気なワケ
日本クレーンゲーム協会広報は「個人的には、アーケード機の人気が落ちたとは思っていない」と話す。
例えば、格闘ゲームは家庭用ゲーム機でも遊べるようになったが、「maimai」や「太鼓の達人」のような音楽ゲームは、それが出来ないものが多い。だから、格闘ゲームに比べて人気があるのではないかと説明する。
一方、クレーンゲームが以前に比べて人気になっている。日本クレーンゲーム協会代表理事の中村秀夫によるクレーンゲーム専門店「エブリデイ行田店」が、人気のきっかけになったのではないかと広報は話す。
同店はYouTuberやメディアで取り上げられた。その結果、ほかの人のクレーンゲーム動画で疑似体験した視聴者が「自分にも取れるかも!自分もやってみたい!」と思ったのが大きいという。こうした動画の視聴者が全国的に広がり、今も人気が続いているとみている。