「自分でコントロールできるのでは」? なぜ「チック」は誤解されるのか、専門家と当事者に実情を聞いた

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「そのときどきの緊張の度合いによって、症状の現れ方が変わる」

   岡田さんは、トウレット症のチックは、「そのときどきの緊張の度合いによって、症状の現れ方が変わる」といい、「心理的な緊張によって悪化するのではないか」と思われたりする。また、一瞬は抑制できたりするので「わざとやっているのではないか」という誤解を受けることもある。しかし、「当事者自身が症状をコントロールできるのはほんのわずかな時間だけ」と説明する。

   症状が出やすい状態については、次のように挙げた。

「みんなの前で発表するとか非常に緊張する時は強く出ます。それから、リラックスしている時や、緊張がほぐれた瞬間、疲れている夕方や、女性の場合は生理前といったような時も強く出るんですね」

   一方、症状が出にくいのは「診察室のなかなど、中等度の緊張の時」という。寝ているときは「基本的には出ないですが、(症状が)強い人の場合には、寝ている時も出ます」。また、「ご飯を食べている時など、単調な作業をしている時は比較的出にくいですが、強い人は出ます」とも加えた。

「つまり、その時々の疲れ具合や緊張度、あるいは作業の内容といったものによって、その時々の症状の表れ方が違ってきます。それを当事者がコントロールすることはほとんどできません。しかし、周りから見ると、それがわざとやっているのではないか、コントロールしようと思えばできるのに、抑制しようとしていないのではないかと見えてしまう。ここが大きな誤解なんです」

   また、前出のタカハシさんは「適度の緊張感というのは症状を抑えるのに効果があります」と表現したが、岡田さんは「言葉を補う必要がありますが、言っていることはよくわかります」と理解を示した。「適度な緊張感があるときには症状は出にくいということなのです。この表現だけを見ると、意図的に症状が抑えようとすれば抑えられる、そこに他者との適度な緊張を利用したり、出せる相手を選んで意図的にチックを<やっている>と受け取られてしまったのかもしれない。でも、実際には自分でコントロールはほとんどできませんし、緊張感のもとで一時的に症状が現れにくかったとしても、緊張感から解放された瞬間には激しいチックが出現するのです」と補足する。

「相手への恐怖や緊張があるから症状をがまんして、出せる相手を選んで出しているのではなくて、緊張度が高い相手のいる状況では出なくて、緊張度が低い相手のいる状況では、自ずと出てしまうということなのです。意図的にチックを出す打さないをコントロールしているわけではありません」
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