ペットフードなどの缶詰メーカー大手「いなば食品」(静岡市)で、社宅が老朽化して酷かったなどとして入社辞退が続出したと週刊文春が報じ、同社が釈明に追われている。
社宅は、きれいにリフォームする予定だったが、担当者が入院して亡くなるなどして、対応が後手後手に回ったという。同社に取材して、その事情を詳しく聞いた。
旧式の洗面所、社宅が雨漏りして天井から水が滴り...
まるで昭和にタイムスリップしたかのような旧式の洗面所、社宅が雨漏りしているとして、天井から滴る水を受けるマグカップ...。週刊文春の電子版は2024年4月10日、こんな写真を乗せて、いなば食品の社宅の状況を報じた。
文春の記事では、この一軒家社宅で新入社員が2~4人で共同生活をさせられ、給料も募集要項よりも月額が3万円ほど少なかったなどとして、静岡本社の工場に配属された新入社員19人のうち、少なくとも9割に当たる17人が入社を辞退したと書いた。
その後、11日になって、入社辞退者の1人とみられる人がXアカウントを開設し、そのときの状況を報告した。
それによると、社宅には、冷蔵庫や洗濯機がなく、エアコンのない部屋には扇風機が支給されたという。給料は、出勤の前日に聞いても、決まっておらず分からないと言われたとし、社員に渡さなければならない労働条件通知書ももらえなかったとして、こうした原因から辞退したと明かした。
このアカウントでは、実際に天井から水が滴る様子を撮った動画や洗濯機が置いていない老朽化した社宅の写真などが投稿されている。
これに対し、いなば食品は12日、「一部報道について」と出して、報道などで心配をかけたが、社員一同で社業に励みたいとした短いお詫び文を出した。しかし、文春報道を否定しなかったため、ネット上では、同社へのバッシング書き込みが相次ぐ騒ぎが続いた。