働き盛りにおススメ!忙しくても「運動を習慣化する秘訣」 いまのうちに鍛えないと、高齢期の健康に影響が/ニッセイ基礎研究所・村松容子さん

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   お腹周りの脂肪が気になり、「運動しなくては」と思い始めたアナタ。しかし、運動習慣を身につけるのは難しく、さらに長続きさせるのはもっと難しい。

   そんななか、ニッセイ基礎研究所の村松容子さんが「運動を習慣化する秘訣」という研究報告を発表した。

   忙しいビジネスパーソンでも運動を長続きさせる秘訣があるのか。村松容子さんに聞いた。

  • ランニングを楽しむ女性
    ランニングを楽しむ女性
  • (図表1)自分の健康状態を把握している割合(ニッセイ基礎研究所作成)
    (図表1)自分の健康状態を把握している割合(ニッセイ基礎研究所作成)
  • (図表2)運動習慣者の増加目標(ニッセイ基礎研究所作成)
    (図表2)運動習慣者の増加目標(ニッセイ基礎研究所作成)
  • (図表3)この1年間で運動を週1回以上実施した最も大きな理由(ニッセイ基礎研究所作成)
    (図表3)この1年間で運動を週1回以上実施した最も大きな理由(ニッセイ基礎研究所作成)
  • 村松容子さん(本人提供)
    村松容子さん(本人提供)
  • ランニングを楽しむ女性
  • (図表1)自分の健康状態を把握している割合(ニッセイ基礎研究所作成)
  • (図表2)運動習慣者の増加目標(ニッセイ基礎研究所作成)
  • (図表3)この1年間で運動を週1回以上実施した最も大きな理由(ニッセイ基礎研究所作成)
  • 村松容子さん(本人提供)

どんなに仕事が忙しくても、無理してでも運動しよう

   <働き盛りにおススメ!忙しくても「運動を習慣化する秘訣」 運動する喜びの「引き出し」多く持つ/ニッセイ基礎研究所・村松容子さん>の続きです。

――すると、やっぱり運動をする仲間がいたほうがいいのでしょうか。

村松容子さん 野球のような団体競技を始める時にはチームに入るために必要かもしれません。ポジションを取ろうと励みになるでしょう。しかし、ウォーキングのように1人でできる運動には必要ありません。どんな運動でも、自分が絶好調の時なら1人でも平気です。

ただ、その運動に飽きた時や行き詰った時は、仲間がいると終わった後の会食が楽しみになったりして、再びモチベーションが上がるようになります。続かなくなった時にどうするか。いつも準備しておくことは大切です。

仲間の存在も、先ほど述べた「喜びの引き出し」の1つです。

――ところで、働き盛りの世代は仕事に子育てにと忙しくて、運動する時間が取れない人が多いです。土日は子どもと遊ぶか、疲れてバタンキューと寝ている人も多いでしょう。

ビジネスパーソンは、どうやって運動する時間をつくればよいでしょうか。

村松容子さん 仕事に育児にと大変なことはよくわかりますが、「無理してでも運動をする時間を作ったほうがいい」とあえて言いたいです。

それは現役で働いていては気づきませんが、高齢期になると、筋力がものすごいスピードで一気に落ちるからです。

退職してから「どうも運動不足だな」と、急に運動を始めても筋力と気力が追いつきません。急に始めるとケガにもつながりかねません。せめて、退職後にすぐに運動を始めても、何とかついていける最低限の体力をキープしておくことを心掛けてください。

通勤の途中でも1日6000歩くらいは工夫して歩いてください。電車から降りて駅を2つ、3つ飛ばして歩く人もいるでしょうし、エスカレーターに乗らず、階段を登る人もいるでしょう。

職場でパソコンの前で座りっぱなしもよくありません。小まめに立ち上がり、身体を動かすことも重要だと思います。土日に子どもと遊ぶ時、家事をする時でも、意識して体を動かすようにするのもいいかもしれません。

コロナの真っ最中に、運動する人が増えた理由

――「運動しなくては」と頭の片隅に常に意識しておくだけでもずいぶん違うものですか。

村松容子さん はい。まったく違います。スポーツ庁の調査によると、コロナ禍の中では、むしろビジネスパーソンの運動量が増えました。

2018年から2022年にかけての5年間の運動実施率(18歳~79歳)をみると、2018~2019年には80%弱だったのが、コロナの真っ最中の2020年には初めて80%を超えて、最高になったのです。

不要不急の外出の自粛が求められ、「コロナ太り」といった言葉も生まれたほか、子どもの運動不足や体力低下が懸念されるようになった時期です。しかし、こういった生活の中、改めて健康習慣の見直しを行ない、運動を始めた人が増えたのです

自分の時間をコントロールできたこともありますが、何より忙しいビジネスパーソンも「命」と「健康」のことをものすごく意識するようになったことが大きいです。

――私もコロナ当時は、「命」と「健康」のことを考えない日はなかったですね。

村松容子さん 残念ながら、コロナ禍後、「日常」が戻るにつれ、2021年以降は2年連続低下して、元に戻ったばかりか、2018年より運動実施率が低くなりました。現在の統計データはありませんが、もっと低くなっているかもしれません。

コロナが人々に与えた教訓は、常に「健康」を意識するだけで運動習慣は作れた人がいるということです。

女性たちに、もっと運動を意識してほしい!

ランニングを楽しむ男女
ランニングを楽しむ男女

――最後に今回のリポートで、特に強調しておきたいことはありますか。

村松容子さん 運動実施率のデータを見ると、週2回以上運動をしている人の割合はずっと横ばいを続けていますが、全くやらない人が少しずつ増えています。つまり、運動をする人としない人の二極化が進んでいるのです。

特にここ10年間で、男性はずっと横ばい状態なのに、女性が運動をする割合が減り続けていることがとても心配です。

――なぜ、女性だけが減っているのでしょうか。先ほどの「運動=肥満解消」のイメージや、汗ばむことがイヤだという問題がからんでいるのですか。

村松容子さん もっと根本的な問題があると思います。

ここ10年で共働きの女性が増えました。仕事と育児と家事の両立、さらにキャリアップも目指そうと、働く女性の忙しさがぐんと増しています。物理的に運動をする時間がなくなっているのです。

さらに、運動が肥満解消のためのものだと思っていると、中高年になって筋力が落ちてしまい、高齢期に健康を害してしまうことになりかねません。

私が世の女性たちに呼びかけたいのは、運動は肥満防止だけでなく、筋力増強のためにも、とても重要だということです。家族や身近な人と励ましあって、立派な筋肉をつくってほしいと思います。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)



【プロフィール】
村松 容子(むらまつ・ようこ)
ニッセイ基礎研究所主任研究員析

2003年ニッセイ基礎研究所入社。
健康・医療分野における人々の不安・対処動向を研究。人生100年時代を見据え、健康長寿を願うなか、人々がどういった不安を抱えているのか、どういった対策をしているか調査・分析。
また、人々の健康課題の解決に向けて、国の健康・医療に関する政策を、生活者の視点から解釈し、伝えている。

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