革新的なスタートアップ企業に倒産が多い
業種別では、野菜作農業の37件と突出して多く、なかでもきのこ類の栽培業者(16件)が目立つ。
きのこ類はハウス栽培で省スペースの反面、温度や湿度管理が求められるため、燃料費の高騰が経営の圧迫要因となった。
また、業歴別にみると、事業を始めてから20年未満の新興企業が46件と、約6割を占めた。
小資本で設立したものの、事業計画の見込みが甘かったり、事業基盤が安定化しないうちに経営環境の悪化に見舞われたりしたケースが多い。
農業法人には、新たな試みや画期的な農法を事業の核に据えたスタートアップ企業が少なくない。
たとえば、2023年度で負債が最大となった「ワールドファーム」(有限会社、茨城県つくば市)は、その典型例だ。
同社は、全国14か所に露地野菜の農場を展開し、国産野菜の栽培から冷凍加工野菜の生産・加工、販売までの一貫体制を構築していた。
このほか、行政との連携も進め、農地バンクを活用した耕作放棄地の解消や新規就農者の育成にも努め、圃場への加工工場の併設など、新たな試みを打ち出して事業を拡大した。
しかし、コロナ禍の外出自粛や飲食店への休業要請、全国規模で実施された休校措置などにより、業務用カット加工野菜の販売が急激に減少して破綻に追い込まれた。