2025年の大阪・関西万博の開催が1年後に迫るなか、東京・丸の内の日本外国特派員協会で24年4月9日、万博に向けた準備状況を説明する記者会見が開かれた。
万博をめぐっては、人手不足による人件費上昇や資材費の高騰が原因で、会場建設費だけでも当初想定の1.9倍にあたる最大2350億円に膨らんでいる。そんな中で24年1月に能登半島地震が発生。万博よりも地震の復旧復興を優先すべきだとする声も噴出している。記者会見には、万博関連イベントのあり方を検討する「催事検討会議」共同座長を務める大崎洋氏らが出席。この点を問われた大崎氏は「どちらが優先順位......ということではない」などとして、万博と震災復興とで優先順位を設定すべきではないとの考えを示した。
関西の新聞も社説で「能登の復興に集中すべきだ」「復旧の足かせなら開幕延期を」
万博をめぐっては、関西地区のメディアからも延期論が噴出している。社説だけでも
「どうする大阪万博 能登の復興に集中すべきだ」(2月10日、京都新聞)
「能登地震と万博/復旧の足かせなら開幕延期を」(3月1日、神戸新聞)
といった具合だ。京都新聞の社説では、前回のドバイ万博がコロナ禍で1年半延期されたことに言及しながら、
「本紙は昨年から万博の延期・縮小の検討を主張してきたが、震災を踏まえ、改めて強く求める」
と主張している
記者会見では、「被災地の復興を優先すべき」だとする議論があることへの見解を求める質問が出た。大崎氏は、
「能登半島のことは僕もよく分からないが、日本政府全体としてどういう手当てをするか、ということで考えていると思うので、そのことと万博の祭事のこととは比べてどう、どちらが優先順位......ということではないと思う」
と応じた。大崎氏同様に共同座長を務めている、華道家元池坊の次期家元の池坊専好氏は
「これは本当に部分的ではなくて、大きな政府としての枠組み、考えの中で、解決できる......金銭的なとか、あるいはサポートの仕方などを考えていく必要があるのではないかととらえている」
と話した。