東京でもよほどの優位性がないと難しい
外食・デリバリーを中心に飲食店のコンサルティングを行う堀部氏は、高級食パン専門店について、富士経済が発表した2020年のデータを引用し、市場規模は300億円程度であると説明。「これはそもそも『地方では成り立たない程の規模の小さい市場』です」と指摘した。
「高級食パンを食べるお客様の利用頻度で考えると、月商500万円まで売ろうとすると、30万人都市程度でないと厳しい」
と言う。調べると、県庁所在地でも人口30万人に満たない市がある。相当の規模の場所でないと、経営が続かないことになる。
東京都内での高級食パン店の出店は「地方よりは成り立ちやすくはなります」という。だが、家賃の高さや競合の多さのため、よほどの優位性がない限りは難しいと述べた。
一方で、食パン専門店の市場規模は300億円だが、外食や宿泊施設、ブライダルなどの業務用やコンビニエンスストア、スーパーで販売される広義のパン市場は約1兆5000億円の巨大市場だ。ごく一般のパン製造業市場だけでも、約4500億円に上る。
実は、高級食パン専門店から一般的なパン販売店に鞍替えする戦略を取ることは多いと堀部氏。直営店舗やフランチャイズ(FC)本部に自由度があるところでは、「食パン以外のアイテム付加で利用頻度増を狙っているところもあります。食パン専門店から、食パンが名物のベーカリーにスライドさせていくことが可能です」と回答した。