「周囲に合わせなくていい。職場で一番になれるスキルを!」 劣等感に悩む若手がハッとした上司の一言(2)

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何より自分の社内ポジションを確立せよ!

   異動早々にNさんが任されたのは、企業ホームページのコンテンツを企画・制作する仕事。

   エンジニア時代とはまったく違う環境に、Nさんは戸惑いと不安を覚えます。エンジニア時代はお客様を担当するまでに半年。今回は着任からわずか2週間。そのギャップにも驚きます。

   異動先の上司からは「いかに未経験とはいえ、新人扱いはしないから」と衝撃の宣言も。エンジニアで働いていた頃は、先輩を真似たり相談もできたのに、周囲に自分と同じ仕事をしている人がおらず、それもできません。

   担当した企業ホームページのコンテンツ制作は、自分が失敗したら全社的に影響が出て迷惑がかかるプレッシャーが大きいもの。悪戦苦闘する日々が続きました。

   実は、ここにも上司の意図が。

   Nさんには根気強さがあるので、思い切って厳しい環境に放り込んでみようとの判断があったといいます。Nさんは、困難に遭っても必ず這い上がってくるはず。何を獲得して這い上がってくるかを見届けようと思ったといいます。

   親ライオンに崖から突き落とされるかのような、厳しい試練を与えられたNさん。しかし、上司の想像通り、七転八倒の苦心をしながらも最後にはコンテンツ制作をしっかりやり遂げ、クオリティ面でも期待に応えたのでした。

   Nさんが次に任されたのは、製品カタログの制作。全社的に活用されることもあって、要所要所で想定外の指摘が入り、締め切りがあるため緊迫したジャッジも迫られました。

   技術部門からはカタログに「製品をよく見せる」ことを求められ、一方、営業部門からは「製品を売りやすい」カタログが求められ...。

   部署によって重視するポイントが違うため、何が最良の選択なのか判断できなくなり、混乱の極みに。前門の虎・後門の狼のような事態ばかり。今度ばかりは出口を見出せず、大きなピンチです。

   すると、板挟み状態のNさんに、上司は一言アドバイスをくれたのです。

「今のNさんに必要なのは、目の前のカタログを仕上げることだけじゃない。まず社内の人たちと信頼関係を築くことだ。双方の意見を取り入れたことで、少々ちぐはぐな内容になっても構わない。様々な部署と渡り合い協働もできるようになるため、自分の社内でのポジションを確立することが先決だ」

   Nさんは、ハッと目が覚める思いでその言葉を噛み締めました――。

   <「周囲に合わせなくていい。職場で一番になれるスキルを!」 劣等感に悩む若手がハッとした上司の一言(3)>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

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