「周囲に合わせなくていい。職場で一番になれるスキルを!」 劣等感に悩む若手がハッとした上司の一言(1)

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

私の役割って何?

   難関資格を取得したNさんは、翌年の春、ついに初めて主担当としてお客様企業を受け持つことになります。大きなプレッシャーと不安を感じながら、新たなチャレンジの日々がスタートします。

   お客様へは、営業担当を含む3人体制で訪問。

   いざ商談に入ると、お客様への提案で営業担当がNさんより優れていたり、本来はNさんが応答すべき部分でうまく解説できず、もう一人の担当者がカバーしてくれたりしたものでした。

   『自分の役割が果たせていないんじゃないか...』と感じることが多く、自信を失いかけたNさん。チームメンバーのフォローや励ましがありがたく、気遣いが身に沁みました。

   難関資格を短期間で取得したとはいえ、実践ではまだまだ通用しない...。そんな葛藤の最中、苦境を乗り越えるきっかけとなる出来事が起こります。

   新たな保守サービス・システムの導入が決まったのです。

   これまでの保守サービスは、お客様からシステム障害の連絡があってからサポートに動くもの。新システムでは、お客様に異常が生じたら自動的にこちらに通知が届くもの。お客様が異常に気付く前に迅速に対応できる仕組みです。

   社を挙げての一大ミッションにも関わらず、当時約100人いた保守チームの中で上司や先輩にさえ導入方法がわかる人がおらず、誰が担うにせよ手習いが必要。

「だったら、私がやってみよう!」

   Nさんは、導入担当に思い切って手を挙げたのです。

   ゼロから研修を受け、右も左もわからない状態からで、最初は手探り。それでも、何とか学び通し、役割を果たせたNさん。

   新システム導入が完了すると、お客様から「実作業が軽減された」「リスクが減った」と嬉しい声が届きました。Nさんは、初めて「自分の力でお客様の不安を取り除き、お役に立てた」と、達成感で一杯になったのです。

   嬉しい反応は、それだけではありません。先輩から「うちのお客さんも、よろしく頼むよ」と依頼がくるように。Nさんにとって、今まで雲の上の存在だった先輩エンジニアから、技術的な質問をされたりと、自分のスキルが皆の役に立っている喜びを実感できました。

「もっとスキルを磨き、喜んでいただけるお客様を増やしたい」

   Nさんは顧客やチームに貢献できる喜びと、さらなる成長への意欲が高まっていきました。

   入社から3年目。Nさんはこの自信をバネに、何と社内コンテストに参加することを決意します――。

   <「周囲に合わせなくていい。職場で一番になれるスキルを!」 劣等感に悩む若手がハッとした上司の一言(2)>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

1 2 3
姉妹サイト