低い税率で利益を得る国
自国の法人税率を下げることにより利益を得ている典型的な例が、アイルランドである。法人実効税率を12.5%と低く抑えることで、アップルやグーグル、ファイザーなどの米国企業が軒並み進出した。
例えばグーグルは、人口約500万人のアイルランドで9000人を雇用している。同国の一人当たりGDPはこの十年間で倍増し、現在約1700万円。日本の三倍以上となっている。この数字は海外の利益を同国につけかえたことで大きく膨らんでいるので、ある程度割り引いて受け取るべきだが、もともと大きな産業がなかったアイルランド経済が低い税率を武器に、大きく伸びてきたことは間違いない。
これは円安でインバウンド・ビジネスを伸ばしている日本と似ている面があるが、日本の観光業の活況がいわば偶然の産物であるのに対し、アイルランドは中長期的な国家戦略として行ってきたところが異なる。