氷河期世代は「賃上げの声が飛びかう昨今、夢のよう」
しかし、同様のプレスリリースを出す会社の中には「新卒採用者への初任給引き上げ」にしか触れていないケースがあることも事実だ。
入社3年目の投稿者も「今いる社員は上がらないの?→そうです」と付け加え、既存社員の調整が行われていないことを強調。「やめちゃえ→やめます」と退職を匂わせている。
都内企業の総務部門に勤めるAさんは、一連の投稿を見て「ほとんどの会社では逆転現象が起きないようにしているはずですが」とコメントした。
「大手企業など年功序列型の企業では、入社何年目の社員の給与はいくら、といったことがひと目で分かる細かな『給与テーブル』があります。人事は、次年度はどういうテーブルでやるのかをあらかじめ決めますので、そこで矛盾が見つかれば必ず調整します」
一方、新興企業では逆転減少が起こる可能性があるという。
特に年功序列を否定する会社では、職務や職位ごとに給与幅の目安を設けつつ、最終的には個別に目標を立て、達成度によって支給額を決めているからだ。
「そういう会社では給与テーブルの矛盾に気づきにくいし、仮に逆転現象が起きたとしても放置している場合があるかもしれません。新卒獲得が戦略上重要なのだから、初任給だけ高くたって問題ない、入社ボーナスだと思えばいいという考え方の人もいる可能性があります。単に実務が雑なだけの会社もあるでしょうけど」
Aさん自身はいわゆる氷河期世代。入社以来、「なんだかんだ理由をつけて、給与がほとんど上がらない」時期が長かったそうだ。そのころを思い出すと、賃上げの声が飛びかう昨今は「ほんと夢のようですよね」と言う。