プロ野球選手の通訳にはどうしたらなれるか? 元通訳・篠田哲次氏が語る実態「本当によい通訳」とは

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「もしタイムマシーンがあって過去に戻れるのならば...」

   また、これから通訳を目指す人に経験者として、次のようなアドバイスを送った。

「高校までの野球経験が役立ったこともありましたが、全く通用しなかった現実もありました。
というのは、プロ野球には多くのサインプレーがあるからです。高校時代、攻撃の時のサインはバント、盗塁、エンドランくらいでしたが、プロは10個以上あります。これに加えて、ピッチャーの球種、けん制、バント守備...。通訳は自分が覚えないと選手に説明できないのでサインプレーをすべて覚えます。
私は物覚えが悪かったせいもあり、ミーティングを最後まで聞いても理解できず、ミーティング後コーチに頭を下げて教えてもらったこともありました。サインを覚えることは、通訳になって一番と言っていいほど苦労しました」

   続けて、「これから野球の通訳になりたい人には、スペイン語も勉強した方がいいと伝えたい」と語った。

「もしタイムマシーンがあって過去に戻れるのならば、大学生の自分に『第2外国語はスペイン語を取れ』と言います。通訳の二刀流が重宝される時代になりました。日本語ができるのは当然として、英語とスペイン語の二刀流、ということです。
ここに野球経験が加われば鬼に金棒。私が考える通訳に必要なものとは、野球経験、英語力、日本語。本当によい通訳は日本語が美しい。きれいな日本語を話す人がよい通訳です。
つまり、日本語の語学力が問われる。なめらかに訳せるかどうか。通訳それぞれに強みがあるのですが、全部バランスよく持っている人がスーパー通訳だと思います」

   今シーズンは今永昇太投手(カブス、30)、松井裕樹投手(パドレス、28)、上沢直之投手(レッドソックス、30)らが新たに大リーグ入りした。日本人選手の活躍とともに彼らの通訳に注目するのも面白いかもしれない。

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