御社の新入社員の働きぶりは、いかがですか――。
キャリアデザインセンターの転職サイト「女の転職type」が働く女性361人に聞いた「新入社員」の調査によると、いまどき(直近3年以内)の新入社員の1年目に点数をつけるとしたら、平均点は70.4点となったという。
この調査は「合格ライン」を70点以上としており、まずまず高評価と言えそうだ。そのうえ、調査に答えた人自身の「新入社員の1年目」に点数をつけるとしたら、平均58.2点と、約12点の差が出る結果ともなっている。
高評価の理由には「コミュニケーション能力」や「モチベーションの高さ」が調査結果の上位にあがっている。こうした能力や意欲は、就職活動のたまものなのだろうか。
これに対して、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「学校教育や就活よりも、アルバイトによるものが大きい」と見る。
新卒1年目の自分のほうに点数を高くつけた要因「ビジネスマナーの理解度」「理解力」
今回の調査は2024年3月1日~14日、「女の転職type」会員に対してウェブ上で行われたものだ。有効回答数は361人。
調査によると、直近3年以内に職場に入った新入社員の1年目に点数をつけるなら、平均70.4点となった。一方で、「(調査対象者の)あなたの新卒1年目に点数をつけるなら、何点?」という質問では、「20~49点」が14.7%、「50~69点」が38.8%、「70~89点」が37.7%となった。平均点は58.2点、新入社員と比べると12点低い結果だった。
この点差の要因は、何か――。
いまどきの新入社員のほうを、自分の新卒1年目よりも点数を高くつけた人にその要因を聞くと、今どきの新入社員は「コミュニケーション能力」(52.6%)、「モチベーションの高さ」(47.7%)の2つがとくに高かった。
ちなみに、このあとに続くのが、「理解力(自分と他者、物事との関係性を理解する力)」40.0%、「柔軟性(意見や立場の違いを理解する力)」31.6%、「パソコンスキル」(26.3%)など。
これに対して、いまどきの新入社員よりも、自分の新卒1年目の点数を高くつけた人にその要因を聞くと、「ビジネスマナーの理解度」(63.9%)と「理解力(自分と他者、物事の関係性を理解する力)」(44.4%)がトップ2だった。
謙譲語や尊敬語などビジネスマナーへの理解はこれから
さて、それにしてもなぜ、今どきの新入社員の「コミュニケーション能力」や「モチベーションの高さ」は評価が高いのだろうか。
大学ジャーナリストの石渡氏は「コミュ力やモチベーションの高さにはもちろん個人差がありますが」としながら、
「コミュ力については、学校教育や就活よりも、アルバイトによるものが大きいと見ています」
と指摘した。
学生のアルバイトのなかでも、特に飲食系やコンビニ、電話オペレーターなどは社会人の想定以上に仕事量が多く、その分、学生たちはコミュニケーション能力が身に付きやすいのだという。
一方で、就職活動を通じてコミュニケーション能力を磨く、あるいは訓練の場になる可能性はあるのだろうか。
石渡氏は、「現在、学生有利の売り手市場ということもあり、想像以上に簡単に内定が取れる時代となりました。そのため、就活でコミュ力を伸ばす学生は多くありません」と説明した。
また、前述のように、自分の新卒1年目の点数を高くつけた人のなかでは「ビジネスマナーの理解度」がトップだったが、ひるがえって今どき新入社員のビジネスマナーへの理解度について、石渡氏は「理解している学生とそうでない学生との間で大きな差があるのが実情です」とも。
石渡氏は、例として電話応対のマナーを挙げた。最近の学生はスマホを持っていても通話機能はそこまで使わず、電話を普段使いしていない。そのため、2000年前半ごろに学生だった「携帯電話」世代から見ると、新人は電話応対に慣れておらず、
「その分、謙譲語や尊敬語などのビジネスマナーへの理解ができていないことにつながっているのかもしれない」
と分析した。