謙譲語や尊敬語などビジネスマナーへの理解はこれから
さて、それにしてもなぜ、今どきの新入社員の「コミュニケーション能力」や「モチベーションの高さ」は評価が高いのだろうか。
大学ジャーナリストの石渡氏は「コミュ力やモチベーションの高さにはもちろん個人差がありますが」としながら、
「コミュ力については、学校教育や就活よりも、アルバイトによるものが大きいと見ています」
と指摘した。
学生のアルバイトのなかでも、特に飲食系やコンビニ、電話オペレーターなどは社会人の想定以上に仕事量が多く、その分、学生たちはコミュニケーション能力が身に付きやすいのだという。
一方で、就職活動を通じてコミュニケーション能力を磨く、あるいは訓練の場になる可能性はあるのだろうか。
石渡氏は、「現在、学生有利の売り手市場ということもあり、想像以上に簡単に内定が取れる時代となりました。そのため、就活でコミュ力を伸ばす学生は多くありません」と説明した。
また、前述のように、自分の新卒1年目の点数を高くつけた人のなかでは「ビジネスマナーの理解度」がトップだったが、ひるがえって今どき新入社員のビジネスマナーへの理解度について、石渡氏は「理解している学生とそうでない学生との間で大きな差があるのが実情です」とも。
石渡氏は、例として電話応対のマナーを挙げた。最近の学生はスマホを持っていても通話機能はそこまで使わず、電話を普段使いしていない。そのため、2000年前半ごろに学生だった「携帯電話」世代から見ると、新人は電話応対に慣れておらず、
「その分、謙譲語や尊敬語などのビジネスマナーへの理解ができていないことにつながっているのかもしれない」
と分析した。