「紅麹サプリ問題」が拡大する中、発売元の小林製薬は2024年4月1日、大阪市内で予定していた入社式を中止した。紅麹による健康被害が確認されたことによる自粛とみられる。さらに、2025年入社の新卒採用を「休止」した。
J-CASTニュースBizは、大学生の就職活動事情に詳しい千葉商科大学准教授・常見陽平氏を取材。不祥事発覚に端を発した採用活動の休止について、詳しく聞いた。
学生にとってはかわいそうな話
小林製薬の「採用休止」の判断について、常見氏は「ギリギリの選択だったと思います」と述べた。一方で、「ただ『休止』ではなく、経緯や、今後のビジョン、対策も示した上で採用継続の方が、学生にも社会にも響いたのではないでしょうか」と残念がる。
「死者、患者が出ている事態は深刻にうけとめなくてはなりません」
と、常見氏。今回の不祥事による被害がどこまで拡大するのか、同社の業績にどう影響を与えるのかは、まだ不明な部分が多い。ただ、それでもこのような時期に入社を希望して門を叩く人は「本気」だと指摘する。小林製薬として今後、不祥事から立ち直るプロセスを踏んでいく中で、その時期に採用された人材なら「変革期」を体験できるという。これは立ち直りを目指す企業ならではの「魅力」だというのだ。
これらを踏まえつつ常見氏は、学生側にも採用活動におけるメリットがあるとする。だが実際は、採用休止。「もろもろ配慮して『休止』なのでしょう。ただ、学生にとってはかわいそうな話です」。
仮に今後、採用活動が「休止」から「中止」に発展したらどうか。常見氏は、「内定を出していたかどうかによります」。すでに内定を得た学生がいる場合は問題になると考えられるという。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)