短距離をライドシェア、長距離をタクシーとすみ分ければ...
――そんななか、ライドシェアが一部で始まりました。リポートでも問いを投げかけていますが、「ライバルとなる競争相手」、つまり敵になるのか。それとも「共存共栄のパートナー」、つまり味方になるのか、どう思いますか。
飯島大介さん ライドシェアは、まだ観光地などの一部のエリアで始まったばかりなので、どこまで普及するのか、見極めは難しいと思います。ライドシェアはシロウトのドライバーが乗客を運ぶので、スタート時は近距離が基本になります。
たとえば現在、成田国際空港での白タクが問題になっています。空港から都市部までの長距離客を白タクに取られては、タクシー会社は困ります。長距離客こそ、儲けの源泉だからです。しかし、タクシー会社は利益の薄い短距離客も含めて、バラツキのあるすべての客に対応しなければなりません。
もし、短距離客をライドシェアが受け持ってくれれば、タクシー会社は儲けの多い長距離客に集中することができます。お互いに補完し合ってウインウインの関係になれます。
――なるほど。それが「共存共栄のパートナー」ですね。では、敵である「ライバルとなる競争相手」では、どんなケースが考えられますか。
飯島大介さん ライドシェア側が、シロウトの副業に甘んじるのをやめて、「もっと儲けたい」と長距離路線に参入してくるケースです。ライドシェアのほうが運賃は安いですから、立場が逆転して脅威になります。
また、ライドシェアが事故や事件を起こした時のイメージダウンも心配です。プロとしての教育を受けていないシロウトが一般人を運ぶわけですが、管理はタクシー会社が行ないます。ドライバーの安全教育をどうするのか、事故の際の責任をどうするのか、しっかり決めないまま見切り発車してしまいました。
安全性の確保はタクシー会社の責任になりますから、業界には懸念の声が高まっています。