日銀の政策修正で始まる「増税」負担が、日本経済に打撃
――どういうことでしょうか。
永濱利廣さん プライマリーバランス(PB)とは、国と地方の基礎的財政収支のことです。
現在はまだ赤字です。2025年に黒字化を目指すという方針は、経済がまだ弱いことなどを理由に22年度から棚上げされています。ところが、日銀が政策修正をして経済成長の好循環を認めたことをきっかけに、復活させようとする動きが政府内で起きています。
そして25年PB黒字化目標が復活すれば、緊縮財政や負担増が進みやすくなります。自民党の中でも緊縮派と積極財政派がせめぎ合いを始めていますが、岸田文雄首相直轄の会議「財政健全化推進本部」が緊縮派の牙城です。
もう1つの積極財政派が「財政政策検討本部」です。
そして6月に公表される骨太の方針で25年PB黒字化目標が復活すると、国民負担増や歳出削減に拍車がかかることになりかねず、デフレマインドが癒えていない日本経済に打撃を与え、「失われた30年」に戻りかねないかと心配しています。