X(当時はツイッター)の発言で裁判当事者の感情を傷つけたとして訴追された仙台高裁の岡口基一判事(58)=職務停止中=に対して、国会の弾劾裁判所(裁判長=船田元・衆院議員)は2024年4月3日、岡口氏を辞めせる罷免の判決を言い渡した。罷免判決を受ける裁判官は8人目だが、職務外の表現行為が理由になるのは初めて。
弾劾裁判では不服申し立てはできず、岡口氏は裁判官の身分や、弁護士になるために必要な法曹資格を失った。判決後、岡口氏は複数のSNSを更新し、判決要旨の画像とともに、絵文字付きで「裁判、ダメでした」と書き込んだ。
判決前には「今日は弾劾裁判の判決の言い渡しです。頑張って行ってきますね」
岡口氏は、担当外の事件の関係者を傷つける投稿を計13回にわたって行ったとして、21年6月に訴追された。公判は22年3月に始まり、今回の判決含め16回にわたって行われた。
検察官役にあたる、国会議員が務める訴追委員会側は、投稿は悪質だとして罷免を求める一方で、弁護側はSNSの投稿を理由にした罷免は不当だと主張した。裁判長の船田氏は主文を後回しにして理由から先に判決文を読み上げた。
岡口氏は判決後にインスタグラムとフェイスブックを更新。「被訴追者を罷免する」という主文が読みとれる「判決要旨」の写真を「裁判、ダメでした」という絵文字とともに掲載した。笑顔を表す絵文字で、判決前の
「今日は弾劾裁判の判決の言い渡しです。頑張って行ってきますね」
という書き込みにも、同じ絵文字が添えられていた。
岡口氏は東大法学部卒業後、1994年に任官。民事訴訟などに関する著書は多く、中でも『要件事実入門』(創耕社)、『要件事実マニュアル』(ぎょうせい)のシリーズはベストセラーとなった。2冊は司法試験受験生の「バイブル」との呼び声が高い。投稿が問題化する前は、下着姿の写真を掲載する「ブリーフ判事」として知られていた。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)