スマートウォッチ利用者はボランティア、スポーツ、旅行...すべてに積極的でアクティブ これは身につける効果なのか?専門家に聞いた

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   運動量や睡眠時間の計測など健康機能のほかに、LINEや着信の通知を受信することも可能なスマートウォッチ。街角や会社でも付けている人を見かけることが多くなった。

   NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年3月28日に発表した「スマートウォッチ利用者は、旅行・テレワーク・ボランティア活動に積極的な傾向」などの調査によると、スマートウォッチの利用者は、健康に自信があるうえ、スポーツや旅行、ボランティア活動にも積極的だという。

   これは、スマートウォッチを身につけている「効果」なのか。調査担当者に聞くと――。

  • スマートウォッチを見ながら運動する女性
    スマートウォッチを見ながら運動する女性
  • (図表1)スマートウォッチの利用と日帰り旅行の頻度(モバイル社会研究所の調査)
    (図表1)スマートウォッチの利用と日帰り旅行の頻度(モバイル社会研究所の調査)
  • (図表2)スマートウォッチの利用と奉仕活動、ボランティア活動の頻度(モバイル社会研究所の調査)
    (図表2)スマートウォッチの利用と奉仕活動、ボランティア活動の頻度(モバイル社会研究所の調査)
  • (図表3)スマートウォッチの利用と1回30分以上の軽く汗をかく身体運動の頻度(モバイル社会研究所の調査)
    (図表3)スマートウォッチの利用と1回30分以上の軽く汗をかく身体運動の頻度(モバイル社会研究所の調査)
  • (図表4)スマートウォッチの利用と健康意識(モバイル社会研究所の調査)
    (図表4)スマートウォッチの利用と健康意識(モバイル社会研究所の調査)
  • スマートウォッチを見ながら運動する女性
  • (図表1)スマートウォッチの利用と日帰り旅行の頻度(モバイル社会研究所の調査)
  • (図表2)スマートウォッチの利用と奉仕活動、ボランティア活動の頻度(モバイル社会研究所の調査)
  • (図表3)スマートウォッチの利用と1回30分以上の軽く汗をかく身体運動の頻度(モバイル社会研究所の調査)
  • (図表4)スマートウォッチの利用と健康意識(モバイル社会研究所の調査)

ボランティアに特に熱心なシニアの利用者

   モバイル社会研究所の調査(2023年2月実施)は、全国の15歳~79歳の男女7166人が対象だ。

   まず、スマートウォッチを利用しているかどうか聞くと、利用している人は723人(10.1%)で1割を超えた。男性443人(12.3%)、女性280人(7.8%)と、男性のほうが利用者は多い。

   日帰り旅行の頻度を聞くと、スマートウォッチを利用する人の「年に3回以上」の割合は37%、利用していない人の場合は23%と、男性・女性ともにスマートウォッチの利用者は日帰り旅行の頻度が高くなった【図表1】。

   特に女性15~39歳で45%、男性15~39歳で44%と、スマートウォッチを利用する人は、若い世代ほど日帰り旅行に出かける人が多くなる。この傾向は、宿泊旅行でもまったく同じだった。

   次に、スマートウォッチの利用の有無と、奉仕活動やボランティア活動の参加頻度の関係を調べたのが【図表2】だ。

   これを見ると、スマートウォッチを利用する人の「参加する」の割合は35%、利用していない人の場合21%となった。

   男性・女性ともにすべての年代でスマートウォッチの利用者は、奉仕活動、ボランティア活動の参加頻度が高い傾向にあった。特に熱心なのが男性60~79歳(47%)、女性60~79歳(42%)のシニア層だ。

   このように、スマートウォッチの利用者が行動的である結果は、同研究所が2024年1月31日に発表した「スマートウォッチ利用者は、健康に自信があり、アクティブな傾向」でも示されている。

   【図表3】は、スマートウォッチの利用の有無と、1回30分以上の軽く汗をかく身体運動の頻度の関係を調べたグラフだ。

   これを見ると、「ほぼ毎日」「週に4回から5回」など、スマートウォッチの利用者の運動量が男性・女性を問わず全年代で高いことがわかる。

   この傾向は、ヨガ・ダンス教室やスポーツジムに参加する頻度でも全く同じ結果が出た。

   そして、スマートウォッチの利用の有無と、健康意識のついて聞いた結果が【図表4】だ。「健康だと思う」という割合が、スマートウォッチの利用は男性・女性を問わず高いことがわかる。

電車の乗降の際にも、スマホやカードの代わりに

   ここまで見事に表れた、「スマートウォッチ利用者はアクティブである」という調査結果。どう考えればよいのか。

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したモバイル社会研究所の角誠(すみ・まこと)さん(健康意識とICT利活用調査担当)に話を聞いた。

――スマートウォッチの利用者が1割を超えたとありますが、スマートウォッチのどういう機能が魅力となり、人々に受け入れられているのでしょうか。

角誠さん 現時点では1割なので、いわゆる「アーリーアダプター層」(商品やサービスを初期段階で購入する人々)が中心だと考えます。

現在は、趣味でスポーツを行ったり、健康アプリなどで健康管理をしたりするような健康意識の強い方が中心だと考えられます。

今後、電車の乗降の際にスマホやカードの代わりに、スマートウォッチを利用するなど、新たな利便性を発見した幅広い層にも普及していくと考えられます。

――全体的に男性のほうが女性よりも利用者が多いのは、なぜでしょうか。また、スマートウォッチのさまざまな機能の利用のされ方について、年代別や性別の違いがありますか。

角誠さん 一般的に男性のほうが女性よりもスポーツを行っているという調査結果があります。

スポーツなどアクティブなシーンでスマートウォッチを着用したり、スマートウォッチ内のアプリ機能を活用したりすることが多いので、男性のほうが女性よりも利用者が多いことの一因になっていると考えています。

また、若年層だけでなく、中年から高齢者でも健康意識の強い方はスマートウォッチ内の血圧、歩数、睡眠時間などを記録できる健康管理アプリなどを使用しています。

ポジティブスパイラルが発生し、生き方に積極的になる?

――2つの調査リポートは、ともにスマートウォッチの利用者が「健康に自信があり、アクティブである」ことや「旅行やボランティア活動にも積極的である」ということを示しています。
これは、「健康的で明るく前向き」だからスマートウォッチを利用しているのか、それとも、スマートウォッチを利用し始めたから「健康的で明るく前向き」になったのでしょうか。つまり、「卵が先か、鶏が先か」という質問です。

角誠さん 両方の可能性があると考えられます。

外出先や運動などアクティブなシーンでスマートウォッチを使用することが多いと思います。そのため、「健康的で明るく前向き」な人はスマートウォッチを利用する傾向が見られるのかもしれません。

スポーツを取り組む人は、もともとある程度、健康に自信があると思います。さらに、スマートウォッチなどのICTデバイスで積極的にスポーツログ利用を行うことにより、より効率的にスポーツに取り組むことができると思います。

その結果、ポジティブスパイラルが発生し、自身の健康に対する自信にも、またアクティブな生き方の向上にもつながっているのではないかと推測しております。

――最後に、スマートウォッチは今後、どのような進化を遂げていくと思いますか。また、どのようなスマートウォッチが現れるといいと思いますか。

角誠さん より多くの人がICTの利便性や健康に興味を持っていただけるように、魅力あるスマートウォッチや機能・サービスが現れることを期待しています。

ただ、スマホには「歩きスマホ」や「ながらスマホ」など影の部分もありますが、スマートウォッチについても影の部分が出てくる可能性もありますので、引き続き注視していきたいと考えています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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