幼少期なしで始まった「虎に翼」 朝ドラに盛り込む意義は?歴代作品から読み解いた

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「子ども時代から描いていたら、尺が足りなくなってしまうこともありますから」

   では、「朝ドラで幼少期が得かがれることの意味・描かれないことの意味」は何なのか。木俣氏いわく、幼少期のあるなしは、主人公にとって幼少期や原風景がその後の人生に重要になるかどうかで変わってくる。

「代表的なのは、『おしん』(1983年度)で、貧しい家に生まれ奉公に出されたことが主人公の原点で、そこからどう脱していくかが描かれました。『おちょやん』(2020年度後期)などは『おしん』方式です。一方、『まんぷく』の場合、福子は萬平との出会いが重要だったので、その前は不要です。『マッサン』も同じ。エリーと出会い結婚したことが、主人公の物語のはじまりです。半年という長いドラマとはいえ、子ども時代から描いていたら、尺が足りなくなってしまうこともありますから」

   あるいは、主人公の成長譚を描くのか、ほかにテーマがあるのかでも変わってくるという。

「子どもの頃から主人公が発明好きとか天才的な才能を発揮していたということを見せたい場合は幼少期を描きます。『べっぴんさん』(16年度後期)や『エール』(20年度前期)などですね。『ひよっこ』は、主人公の半生や人生という大きな出来事でなく、わずか数年の物語を丹念に描きたいという考えに基づいていました。『モネ』は、震災にあって主人公の人生が変わったという話で、それをミステリーふうに、昔は明るかった主人公がいまは消極的になってしまった理由があとでわかるように物語が進行していくので、時系列で幼少期を描く選択はなかったのです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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