静岡県の川勝平太知事が2024年4月1日に新規採用職員に対して行った訓示で、職業差別ともとれる発言があった。SNSで反発の声が相次いでいる。議員や首長、著名人からの批判も多い。
「県庁というのはですね、別の言葉でいうと、シンクタンクです」
各社が報じた訓示の映像によると、スーツ姿の川勝知事が微笑みながら「県庁というのはですね、別の言葉でいうと、シンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり。あるいは物を作ったりとかいうことと違って、基本的にみなさま方は頭脳、知性の高い方たちです」などと呼びかけた。発言の「毎日毎日野菜を~」の部分をめぐり、職業に優劣をつけるものではないかとする声が上がっている。
SNSでは、「野菜売ってみろよ、牛の世話してみろよ。やったこともないくせに見下した様な言い方すんな」「静岡って農業県でもあるし土木産業やモーターエンジニアリングの工業とかが盛んな県なんだけどな。それらを全否定する発言はどうなんだ、首長として」など怒りの声が相次いだ。
川勝知事はこれまでも複数回不適切な発言で「炎上」してきた。21年10月には同県の御殿場市と浜松市とを比較し、御殿場市について「あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている」などと揶揄(やゆ)。この発言をめぐり県議会から辞職勧告決議を受けるも、わずか1票差で否決されていた。
「公務員を特権階級だと勘違いしている。政治家として失格だ」
川勝知事の発言には、著名人らも複数反応している。政治家からも反発の声が目立つ。
自民党の平将明衆院議員は、発言を伝える記事を引用し「こんな人が知事やってるのか」と憤慨。
長崎県平戸市の黒田成彦市長は「公式の場でこんな訓示をするということは、日頃から職業差別の意識があり、公務員を特権階級だと勘違いしている。政治家として失格だ」と厳しく批判した。
日本維新の会音喜多駿政調会長(参院議員)は「発言は問題ですし、リニアの件も含めて知事としての資質に著しく欠ける。前回の不信任案は一票差で否決されましたが、議会が再度動く時では」とつづった。
実業家や芸能人からも呆れる声が上がっている。
「2ちゃんねる」創設者のひろゆきこと実業家の西村博之さんは「野菜を売ったり牛の世話をする人は知性が高くないと仰る人に投票した県民は知性は高くないかもね」と皮肉った。
お笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんは「否定ではなく単純な疑問なんですけど...静岡県の方たちは川勝知事のどんなところを支持してるのでしょうか? 僕が静岡県に住んでないので、悪いニュースでしかお見かけしないんですよね...なので川勝知事の良いところ教えてください」と疑問を吐露した。
脳科学者の茂木健一郎氏も「この発言自体に、静岡県のすべての方々の生活に関わるはずの『知事』として必要な『知性』が一切ない。心から残念です」としている。