「学校教育法により認可を受けている『大学』である印象を与えるものではありません」
学校教育法で名称の使用が規制される対象は、あくまでも「教育機関」であるためだという。135条に関して下記のように詳しく述べる。
「『専修学校、各種学校その他第1条に掲げるもの以外の教育施設』とは、職業能力開発促進法に基づく公共職業能力開発施設、児童福祉法に基づく保育所、防衛省設置法に基づく防衛大学校のように、当該教育を行うにつき学校教育法以外に特別の規定があるものや企業内における従業員教育施設あるいは私塾などを指すとされるため、本件ヴァンピさんが設立した株式会社HERO'ZZは教育施設ではないので、形式的にみて学校教育法違反にはならないものと思います」
ただ、仮に同社が形式的に教育施設に当たらないとしても、学校教育法の趣旨に鑑みて、名称の使用が認められないことも考えられるという。
「学校教育法135条1項の趣旨について、裁判例は、『教育施設である「学校」の設置基準を法定した上で、この基準を満たした教育施設にのみその基本的性格を表示する学校の名称を使用させることによって、学校教育制度についての信頼を維持しようとする』ことであるとしています(知財高裁平成23年5月17日(平成23年(行ケ)10003号)。
この趣旨から、法135条1項違反になるか否かは、学校教育法により設置の認可を受けていない教育施設が、『大学』の呼称を使うことによって、あたかも学校教育法により設置の認可を受けている教育施設かのような印象を抱かせたか否か、で判断されます。
ここで本件についてみると、設立の目的としては、クリエーター養成という教育目的であるようにも見えますが、大学の名前が『HERO'ZZ大学』と大変ポップな名前で、対象者も、『日本在住の15歳以上』となっており、学校教育法により認可を受けている『大学』である印象を与えるものではありません」
「したがって、本件名称利用は、学校教育法違反にはならないものと思料します」と、古藤弁護士は結論づけた。