国語辞典に載っていない「酒池肉林」のもうひとつの用法とは
ここまでいくつか誤用の例について触れましたが、一概に誤用とは言えないパターンも存在します。
国語辞典編纂者で知られる飯間浩明さんがXに投稿した「酒池肉林」に関する用法について、注目が集まりました。
「酒池肉林」は「酒をたたえた池と、肉をかけた林」という中国の故事に由来して「贅沢な酒宴」を意味する言葉として使われます。
しかし、Xでは「性的な乱れ」を示すニュアンスで用いる人も散見され、しばしば用例についての議論が巻き起こります。「性的な乱れ」というニュアンスで使うことを否定的に捉える意見としては、「辞書に載っていない」ことを理由に挙げる人もいるようです。
これに対し飯間さんは、「辞書の作り手としては、むしろ『このニュアンスの用法を辞書に載せてなかった!』と敗北感に浸ります」とコメント。
また、投稿に添付された画像には、太宰治や山田風太郎などによる過去の文学作品を引用するかたちで、「酒池肉林」が性的なニュアンスを伴って使用されている用例について解説していました。
言葉の意味が辞書にないから誤用ではなく、作り手としてはむしろ「このニュアンスの用法を載せてなかった!」と敗北感に浸る - Togetter
さらに飯間さんは、「性的に乱れたニュアンスで使われることも知っておかないと、文学作品の読解もできない場合があります」と投稿。言葉には複数の意味や用法、ニュアンスで使われることが普通であることを説明しました。
他のユーザーからも「言葉は変化することこそが真の魅力だと思う」「辞書にあるから言葉が正しいのではなく、言葉があるから辞書に載るんだもんな」と、多くの賛同が寄せられました。
「酒池肉林」に関する飯間さんの投稿は、辞書にも載っていない意味や用法が存在することを伝えるだけでなく、言葉の持つ多様さを教えてくれます。
Xでは毎日のように言葉を用いた活発なコミュニケーションが繰り広げられています。
その中で、もし違和感を覚えた言葉があったときは、辞書に載っていないから誤用とすぐさま判断するのではなく、その言葉の持つルーツや本来の意味を調べてみると、言葉に対する理解がより深まるかもしれません。
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