Z世代は仕事の「成長意欲」高い 有能な人材ひきつけるには「彼らの声に耳を傾け、会社は変わるべき」

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   入社1年目の2023年度新入社員を対象とした調査によると、社会人になってから仕事やキャリアに関する価値観が「とても変化した」「変化した」と答えた人は64.5%にのぼったという。

   変化した内容についての自由記述をみると、意外なことにネガティブな変化はあまりなく、社会人経験を通じて視点が柔軟になり、かつポジティブな姿勢が見られるようになっているところが興味深い。

  • 新入社員のキャリアの価値観とは
    新入社員のキャリアの価値観とは
  • 社会人になってからの仕事やキャリアに関する価値観の変化(ディスコ「キャリタス就活」より)
    社会人になってからの仕事やキャリアに関する価値観の変化(ディスコ「キャリタス就活」より)
  • Z世代の採用や新入社員の受け入れにおいて、価値観の変化を感じることはあるか(学情より)
    Z世代の採用や新入社員の受け入れにおいて、価値観の変化を感じることはあるか(学情より)
  • 価値観の変化や「キャリアの自律」への関心の高まりを受けて、新入社員の受け入れ方法や人事制度を変更したか(学情より)
    価値観の変化や「キャリアの自律」への関心の高まりを受けて、新入社員の受け入れ方法や人事制度を変更したか(学情より)
  • 新入社員の受け入れ方法や人事制度について、変更したこと・変更を検討していること(学情より)
    新入社員の受け入れ方法や人事制度について、変更したこと・変更を検討していること(学情より)
  • 新入社員のキャリアの価値観とは
  • 社会人になってからの仕事やキャリアに関する価値観の変化(ディスコ「キャリタス就活」より)
  • Z世代の採用や新入社員の受け入れにおいて、価値観の変化を感じることはあるか(学情より)
  • 価値観の変化や「キャリアの自律」への関心の高まりを受けて、新入社員の受け入れ方法や人事制度を変更したか(学情より)
  • 新入社員の受け入れ方法や人事制度について、変更したこと・変更を検討していること(学情より)

入社前は「ワークライフバランス」を重視していたが

   この調査は、新卒学生向けサイト「キャリタス就活」によるもの。メーカーに就職した理系男性からは「上司の仕事の負担を見ていると、あまり出世したいと思わなくなった」と、入社前の期待が削がれた印象を述べている。

   ただしそれ以外は、ほとんどが前向きな内容だ。たとえば金融業界に就職した文系男性は、

「ワークライフバランスを重視していたが、もっと仕事に熱量をもって取り組み、自分の思い描いたキャリアパスを歩みたいと考えるようになった」

と述べている。また、メーカーに就職した文系女性は、

「仕事は生計を立てるためにするというイメージを以前はもっていた。しかし、社会人になってからは、仕事は社会に貢献するための方法であり、感謝される楽しいことと捉えるように変化した」

といった落ち着いたコメントを寄せている。

   希望の部署に配属されて満足しているメーカー勤務の理系男性からは、「他部署を経験してきた上司や先輩と話をする中で、経験ゆえの見識の深さを感じることが多い」といった経験談も寄せられている。

   いずれも就職して社会人生活を送るようになってから、初めて得られるようになった視点といえるだろう。入社前には語り得なかった言葉だ。

「価値観の変化」を受けて人事制度を変更した会社も

   調査対象となった2023年度新入社員は、いわゆる「Z世代」ど真ん中。すでに職場で受け入れを行う人たちからも、これまでの若手社員とは異なる「変化の兆しがある」という声があがっている。

   就活サイトを運営する学情の調査によると、Z世代など若手社員の採用において「価値観の変化を感じることがある」と答えた人事担当者は、「どちらかと言えば感じる」を含めると64.2%にのぼっている。

   自由記述には、Z世代の傾向について

「若手のうちから活躍したいという意欲が高い」「自身の仕事が、どのように社会に役立つかを重視する人が増えたと思う」「企業理念について質問されることが増えた」「『今の自分の気持ち』を大切にしたいと考える若手が増えている」

といったコメントが寄せられたという。

   この価値観の変化や「キャリアの自律」への関心の高まりを受けて、新入社員の受け入れ方法や人事制度を「変更した」と答えた人は20.5%、「変更はしていないが、変更を検討している」と答えた人は37.5%いたという。

   変更した人事制度は「研修制度」が最も多く60.7%、次いで「配属方法」が39.3%、「給与体系」が35.4%、「評価制度」が34.9%、「働き方に関する制度」が34.5%、「上司と部下とのコミュニケーション方法」が32.8%となっている。

   これまでであれば会社の専決事項として社員に歩み寄ることのなかった「配属方法」なども、Z世代に合わせて見直している会社があるようだ。

「若手の素朴な疑問が大事なヒントになりうる」

   これらの調査結果について、都内企業で採用に携わる40代の男性マネージャーは、このような傾向はZ世代だけのものではなく、以前から若手社員に見られるものだと指摘。そして、彼らの声に耳を傾け、会社が変わる意味は非常にあるとコメントしている。

「危機感の薄かった昔であれば、若手が『この仕事は何のためにあるのか』と聞いても、上司や先輩から『いいからこれまで通りやって』と言われていました。しかし、事業環境の変化でビジネスの再定義が求められる現代においては、『この仕事の意味は何だろう』『このやり方でいいのか』と常に問うことが必要になります。『王様は裸だ』と言える若手の素朴な疑問が大事なヒントになりうるわけです」

   将来の変化の不確実性が高い中では、変化に適応していける「社員個人の学習と成長の力」が重要になる。Z世代の「成長志向の高さ」は特に大事にしていくべきだという。

「ときどき『入社したばかりなのに、仕事に成長や自己実現を求めるなんて甘すぎる』なんて豪語する経営者や管理職がいますが、あれは論外ですね。社員に自社の存在意義を語り、社員の成長が会社の成長につながるという考えを持たないと、これからの人手不足の時代に、会社が有能な人材を引き付ける魅力を持つことはできないと思いますよ。それは初任給だけ上げても難しいでしょうね」
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