効果の科学的根拠も、紅麹の安全性も、不透明なまま
紅麹を説明した小林製薬のサイトによると、1979年に東京農工大学の遠藤章氏助教授(当時)が紅麹菌から高いコレステロール抑制効果を持つ成分を発見し、その成分は「モナコリンK」と名付けられた。
各社の報道によると、その後、米製薬会社メルクがモナコリンKと同じ成分の「ロバスタチン」を別の麹菌から発見し、海外では、コレステロール抑制薬としてこのロバスタチンが流通している。ただ、厚労省の医薬品審査管理課によると、日本では、これらの成分は医薬品として承認されていない。
同省の監視指導・麻薬対策課によると、疾病を治すという表示はNGだが、今回の商品がうたった効果については、医薬品ではなく健康維持の範囲内だとみなされる。いずれにしても、効果の科学的根拠は、日本でははっきりしていないようだ。
紅麹の安全性については、内閣府の食品安全委員会が2014年3月、その機能性をうたったサプリメントによる健康被害が欧州で報告されているとして、注意喚起したことがある。今回のような腎疾患につながるカビ毒の一種シトリニンを一部の紅麹菌が生成しているという。
これに対し、小林製薬は、同社の紅麹にはシトリニンは含まれていないとサイトで説明しており、今回の健康被害でも商品から検出されていないという。ただ、24年3月29日の会見でも、カビから生成された意図しない成分が含まれていた可能性があると明かしており、安全性についても不透明な部分が残っている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)