残業超過までの経緯を「可視化」が必要
小菅氏は「本人と上長の話し合いをして『業務改善報告書』を作成することは特段問題ございません」という。一方で、報道された谷CEOのコメントやTOKYO BASEの回答では「業務改善報告書」を作成するまでの実際のやり取りまでは明かされていないため、「会社の目的に沿う、働き方を良くするための取組みという役割とマッチしているか、これだけで判断することは難しいです」という。
また、「両者の話し合いを基本として改善への方向性を決める、という考え方はいいと思います」と評価。しかし、改善案や改善プランを上司が作成、起案することについては懸念が残るという。
「例えば、上長が中間管理職のような立場にいる場合、部下との話し合いを基本としてプランを作成するというスタンスでありつつ、実態としては経営層のオーダーに沿うプランを作成し、これに合うような内容になるように部下を指導している、という可能性が考えられます。求めるゴールが現実的であり、かつ、業務遂行を行う上で適正な範囲、手段、方法であれば、必要な指導といえるかもしれません。ただ、考えられる問題としては、これが範疇を超えており、名目上の目的と実態との間に齟齬が生じ、起きている事実が表面化するのに時間がかかるという懸念はあります」
それでは、理想的な残業時間超過の改善の仕方としてはどのような方法があるのか。小菅氏は、何が起きた結果、残業超過となったのか「可視化」することが必要だと説く。具体的には、クラウドによるシステム化などデジタルツールを使って可視化する、仕事に介在するいろいろな人に話を聞き、どういうやり取りの中で残業が発生したのかを見ていくといった方法が考えられるとした上で、「その(可視化の)切り口をいくつか持っておくことだと思います」という。「最終的には、何が起きてそう(残業超過に)なったのかを時系列で可視化できるような仕組み」が必要と指摘した。残業超過の原因の「データが見えるような形で検証・分析する」ことが理想といい、「それを基に、結局どうすれば改善できるのかというプランに繋げられるのかなと思います」話した。