産業界もいら立つ
石渡氏は「理工系分野で女子枠入試を実施しないと、理工系学部で男女比を是正できない、国や産業界の焦りが反映されています」とも。文科省「学校基本調査」(2022年)によると、理学部系統の学生数は男子5万7379人、女子は2万2141人。また、工学部系統は男子32万2418人、女子6万0383人。どちらも女子の比率が圧倒的に低く、この傾向は長年変わっていないと説明する。
「海外の先進諸国と比較しても非常に少なく、産業界は技術職や研究職などで女子学生を採用できず、いら立っています」
技術職・研究職で女性を採用できないと、まず、欧米系の株主から「男性優遇か」と批判される恐れがある。さらに、女性の視点がない企業は将来的に国際競争力を維持できない、とも言われている。
「そのため、理工系学部で女子学生を増やすための方策として、女子枠入試が導入され現在に至っています。大学側も国・文部科学省のお墨付きであり、産業界の後押しもあることから、今後も導入する大学は増える見込みです」
と分析した。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)