大リーグ ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が2024年3月26日(日本時間)、通訳を務めていた水原一平氏の違法賭博をめぐる問題について声明を発表した。
大谷選手は、自身の違法賭博への関与は完全否定している。この問題の特徴のひとつが、水原氏の発言が二転三転したことだ。当初、水原氏は自らが違法賭博で作った借金を大谷選手に肩代わりしてもらったと、アメリカのスポーツメディア「EPSN」の取材に対して回答。また、EPSNは水原氏がドジャースのチームメートに対し、「私はギャンブル依存症」と告白したとも報じた。
しかし、その後、水原氏は、大谷選手は送金に関しては何も知らなかったと語っており、発言内容が覆っている。SNSこの点をいぶかしむ声は多いが、仮に水原氏がギャンブル依存症であれば、発言が翻ることはそれほど不自然ではないと解釈できる可能性もある。依存症の識者に見解を聞いた。
「私はギャンブルをしなければならない!」という強迫観念
編集部が取材したのは「公益財団法人 ギャンブル依存症問題を考える会」の代表を務める田中紀子氏。発言の変遷について、田中氏は「すぐバレる嘘をその場しのぎで語るのはギャンブル依存症患者の特徴と見受けられる」と指摘。また、そのようになってしまう理由として、「ギャンブル依存症がそういう病気」だとして、
「ひとたびはまると『私はギャンブルをしなければならない!』という強迫観念にとらわれてしまいます。ギャンブルの実行が人生の至上命題になってしまうため、その資金を手に入れるためであればどんな嘘でもその場限りでついてしまうのです」
と説明した。また、「私はギャンブルをしなければならない!」という強迫観念にはまっていく過程として、ギャンブルで発生した損失を取り返そうとして、さらなる賭博行為に及ぶという「負け追いの心理」というものがあると説明。
この「負け追いの心理」の結果、新たなギャンブルにつぎ込むための資金を手に入れようとして、嘘をついてでも資金集めに奔走するようになるのだという。