プロ野球巨人は2024年3月26日、新外国人選手ルーグネッド・オドーア外野手(30)が退団することを発表した。
オドーアは大リーグのテキサス・レンジャーズ、ニューヨーク・ヤンキースなどを経て、24年1月に巨人に入団。大リーグ通算178本塁打を誇り、打線の主軸として期待されていた。
だが、オープン戦では34打数6安打の打率.176、本塁打ゼロ。24日の楽天戦が日本での最後の試合となった。
高木豊氏「オドーアはキャンプで笑顔なかった」
2月16日の沖縄2次キャンプからチームに合流したオドーア。チーム在籍わずか1か月での電撃退団は野球ファンの注目を集めた。
オドーアはなぜ退団したのか。退団理由はどのようなものだったのか。
スポーツ紙の報道によると、巨人の吉村禎章編成本部長(60)は「最初の開幕のメンバーには入れないけれどもしっかりとファームの方で調整してコンディションを上げてくれと話し合ったんですけど、彼の中ではとにかく『2軍、ファームに落ちて調整するというのは受け入れられない』ということになりました」と説明したという。
巨人のキャンプを視察したという野球評論家の高木豊氏(65)は26日にユーチューブを更新し、オドーアの退団理由について独自の見解を示した。
高木氏は「キャンプの時から見ても、挨拶はするがあまり挨拶を交わさない。笑顔がない」と当時の様子を振り返り、こう推測した。
「アメリカの環境と全然違うのでそれになじめなかったこともあるだろうし、想像していた以上に環境の違いを感じたのかな。それと力を出し切れない自分のふがいなさ。このままいてもチームのお荷物になると思ったのかもしれない。まさかファームでの調整を言われるとは思っていなかったのではないか」
続けて、「外国人はオープン戦と本番でスイッチが代わるというか、目の色が変わってくる。外国人はスロースターターが多い。開幕から夏場にかけて上げていくという選手が多い中、オープン戦で判断されてファームにというのが、自分の中で受け入れられなかったのかな。それよりなにより自分の成績が出ない。日本のレベルの高さにびっくりしたのかもしれない」と独自分析した。
「大リーガーのプライドはどうなるか」「謙虚に日本の野球を学ぶ姿勢でいるか」
オドーアの退団理由については不透明なところが多いが、巨人でプレーした経験を持つ元DeNA監督のアレックス・ラミレス氏(49)は3月2日に公開したユーチューブ動画でオドーアが日本でプレーするうえでの懸念点をかねてから指摘していた。
オドーアの叔父と親交があり、オドーアの大リーグ時代をよく知るというラミレス氏は
「(オドーアは)メジャーリーグでは、セカンドを多く守っていて良い守備を見せていたが、外野守備の経験が少なく、もうベテランの域なので守備範囲は少し狭まっているだろう」
と分析した。
オドーアは主にセカンドを守っていたが、巨人はチーム事情からオドーアを外野手として起用する方針だった。
そのうえで、このような守備の不安から、試合終盤に守備要員の選手と交代させられる可能性があるとし、
「そうなるとメジャーリーグでバリバリにやってきた彼のプライドはどうなるかだね。メジャーリーグであれば、そんなことはなかったからね。そこを彼がどう受け取るかが少し懸念ではあるね」
と指摘した。
さらにオドーアと同じく大リーグでプレーしてから来日したラミレス氏は、自身の経験を踏まえ、オドーアの精神面での懸念点を挙げていた。
ラミレス氏は「オドーア選手は10年もの間、メジャーリーグで成功した選手なので『日本に野球を教えにきたぞ』くらいの感覚なのか、謙虚に日本の野球を学ぶ姿勢でいるかだね。この点も気になるところなんだ」と語っていた。
オドーアの退団により外野手のレギュラー争いが激化する巨人。29日の開幕戦は本拠地・東京ドームで昨シーズンの覇者・阪神を迎え撃つ。