北朝鮮の金正恩総書記の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(ヨジョン)氏が2024年3月26日、国営朝鮮中央通信を通じて談話を発表した。談話では、「日本側とのいかなる接触にも、交渉にも顔を背け、それを拒否するであろう」としている。
林芳正官房長官は27日午前の記者会見で、「日朝間の諸懸案の解決に向けた政府の方針についてはこれまで繰り返し説明してきている通り」などと発言した。
「政府の方針についてはこれまで繰り返し説明してきている通り」
与正氏は25日にも、岸田文雄首相が正恩氏に「直接会いたいという意向」を北朝鮮側に伝えたとしているとの談話を発表していた。「これ以上解決すべきことも、知るよしもない拉致問題に依然として没頭するなら首相の構想が人気取りにすぎないという評判を避けられなくなるであろう」などとも主張。
林氏は同日午後の記者会見で、会談の実現に向けて「様々なルートを通じて働きかけを絶えず行ってきているところ」と説明する一方、「拉致問題が既に解決されたとの主張は全く受け入れられない」として「日朝平壌宣言に基づき、拉致、核ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するとの方針に変わりはない」などと従来通りの立場を繰り返していた。
26日の談話について、林氏は「承知しております」とし、「北朝鮮側の発表のひとつひとつにコメントすることは差し控えたい」「日朝間の諸懸案の解決に向けた政府の方針についてはこれまで繰り返し説明してきている通り」などと述べた。
与正氏の新たな談話では「最低水準の支持率を意識している日本首相の政略的な打算に、朝日関係が利用されてはならない」と主張。林氏は「戦略的な打算に、日朝関係を利用しているという指摘はあたらない」と反論した。