ツバメノート、2024年度も「デザイン変更しないこと」発表 一新の試みは創業者妻が「断固拒否」、77年の歴史に込められた思いとは

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   大学ノートで知られる文房具メーカーのツバメノート(東京都台東区)が2024年3月25日にXで、大学ノートについて「当社で熟考を重ねた結果、来年度もデザイン変更しないこととなりました」と書き込んだ。続く投稿では、1947年の発売当時からデザインが変わっていないことも明かされた。なぜ77年もの間、同じデザインで販売を続けるのか。ツバメノートに思いを聞いた。

  • ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
    ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • 1947年と現在のノートの比較画像。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
    1947年と現在のノートの比較画像。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
    ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • 23年の「デザイン変更しない」報告。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
    23年の「デザイン変更しない」報告。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • 22年の「デザイン変更しない」報告。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
    22年の「デザイン変更しない」報告。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • 1947年と現在のノートの比較画像。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • 23年の「デザイン変更しない」報告。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より
  • 22年の「デザイン変更しない」報告。ツバメノート株式会社公式X(@TSUBAME__NOTE)より

「素晴らしい決断ありがとうございます」

   ツバメノートの公式Xは「新年度のお知らせ」として

「お客様各位
拝啓 平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
創業より変わらぬツバメノートの意匠ですが、当社で熟考を重ねた結果、来年度もデザイン変更しないこととなりましたので、ここにお知らせ致します。
来年度も何卒よろしくお願い申し上げます。  敬具」

   と報告。現在のノートと1965年のものの比較画像も公開した。この投稿は反響を呼び、26日時点で6万超のいいねが付き、1万回超リポスト(拡散)されている。「素晴らしい決断ありがとうございます」「いいニュースありがとうございます」などと、喜ぶ声も寄せられた。

   実はこの報告は22年から恒例で行っているもので、今回の投稿に寄せられたコメントに返信する形で、「年に1回の定期告知でした」としている。

   Xの投稿では、続けて「こちらの大学ノートはツバメノートの前身、渡邉初三郎商店の時(昭和22)にデザイン・販売開始されました」と明かし、次のように沿革も投稿した。

「昭和22年 大学ノート発売(渡邉初三郎商店)
昭和23年 ツバメノート創業
昭和40年 写真左のノート
令和06年 写真右のノート」

   77年もの間デザインを変えなかったのはなぜなのか。

「会社の前を通りかかった易者(占い師)さん」がデザイン

   J-CASTニュースの取材に応じたツバメノートのX担当者によると、大学ノートをデザインしたのは、会社の前を通りかかった「易者」だという。

「弊社の記録によれば昭和22年(1947年)の戦後間もない頃、ツバメノート前身渡邉初三郎商店の会社の前を通りかかった易者(占い師)さんが『私はデザイナー(当時は絵師でしょうか)のようなこともしているので私にノートのデザインをさせてほしい』と提案を受け、この意匠の大学ノートを発売したと伝わっています」

   「ただ、社内には昭和22年(1947年)に製造した当時のノートはない」とも補足する。現物として一番古いものは1965年のものだという。これはXにも投稿されたもので、「表紙に小売店巡回記録と書かれているように、中には当時の販売店様の名前が少し書かれています」と説明した。

   今までデザイン変更をしなかった理由については、次のように説明した。

「弊社の代表的な大学ノートのデザインは社内で飾り枠と呼んでいます。大学ノートにおいて飾り枠は重要な要素であり、それこそ表紙を飾るノートの顔となります。この特徴的なデザインだからこそ、お客様が店頭で見たときにツバメノートであることが一目でわかるよう、ツバメノートを引き続き買っていただけるよう、これまでこのデザインを変更しなかったのだと思います」

   同商品は2012年にはグッドデザイン賞の「ロングライフデザイン賞」を受賞している。この受賞に触れ、「日本にいる方なら文房具売り場で一度は見たことのあるノートとして、クラシカルな当時のデザインを守り続けます」と今後の方向性にも言及した。

紙質や紙の名前...実は「多少の変更・改良」あった

   それでは、今までデザイン変更の話はなかったのか。X担当者は「大昔にはなりますが、一度デザイン変更しようかという議論もあったようです」。

「当時の会社上層部の者たちがデザインの一新を試みたようですが、創業者の奥様がデザインの変更を断固拒否したそうです。その決断がなければ、今のデザインはなかったかもしれません」

   また、今まで大幅なデザイン変更はなかったものの、「実は多少の変更・改良がございます」と明かす。

   その一つに「紙質」を挙げ、「発売当時(昭和22年)より現在の方が、抄造(紙を作る)技術が向上していますので、紙質は良くなっていると思います」と説明した。

   「紙の名前」も変更があったという。

「表表紙の下に小さな文字が書いてありますが、これは本文に使っている紙の名前になります。昔は『十条製紙特漉フールス』と記載がありましたが、その後十条製紙は合併してしまいましたので、現在は『ツバメ中性紙フールス』と記載されています」

   また、発売から70年以上というロングセラー商品ならではの変更もある。

「裏表紙は昔とだいぶ変わっています。例えば発売当時にはなかったのですが、1970年代からバーコードが普及したことで、今では裏表紙にバーコードの印刷が追加されています。バーコードがないとお店でお会計ができないですからね」

「お客様の生活の中にツバメノートがあることが嬉しく、とても感動しています」

   X担当者は、「デザイン変更しない」報告の理由について、「『もしかしたらツバメノートは大学ノートのデザインそろそろ変更するんじゃないか?』と思っているお客様もいる可能性を踏まえ告知させていただきました(多分いないと思います)」とツッコミつつ明かす。

   また、「来月から新年度になりますので、デザイン変更しないので安心してツバメノート使ってください。ノートを新しく買い替えるならツバメノートも検討してください。という意味合いも少し含まれています」と、新年度に向けた案内も兼ねていたという。

   投稿への反響について、X担当者は「実は去年もほとんど同じ内容を投稿したのですが、この投稿をするとお客様がツバメノートとの物語をコメントしていただけます。例えば『親子四世代で使ってます!』や『祖父が日記にしていました!』など、お客様の生活の中にツバメノートがあることが嬉しく、とても感動しています」と明かす。

   さらに、「商品へのコメントもいたくことができ、『デザインを変えないでください!』や『(変えないことが)大英断!』などお褒めの言葉いただきます。こういった言葉や皆様の反響を活力に今後も、皆様にノートをお届けしたいと思っています」と意気込んだ。

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