プロ野球大リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手(29)が、違法賭博に関与した疑いのある元通訳の水原一平氏(39)について、2024年3月26日(日本時間)に会見を行い、自身の違法賭博への関与を完全否定した。
水原氏による違法賭博問題は韓国ソウルでの開幕シリーズ初戦(20日)後に発覚し、水原氏は球団から解雇された。
「大谷は少しも緊張することなくただ単に騙されたのだと語った」
複数の米メディアの報道によると、水原氏は21年から米カリフォルニア州では違法とされるブックメーカーで野球以外のスポーツ賭博に手を染め、大谷の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)がブックメーカーの関係者に送金されたという。
事件発覚後、大谷が初めて公の場で違法賭博騒動に関して言及するとあって、大リーグファンの注目度は高く、米メディアは一斉に会見の模様を速報した。
「CNN」(WEB版)は、「このスキャンダルは木曜日(28日)に行われるMLB(メジャーリーグベースボール)の開幕戦に影を落とし、野球界の大スターのひとりに対する世間の理解を覆し、プロスポーツとギャンブルの密接な関係に新たな批判を浴びせることになった」と厳しい論調で報じた。
「USAトゥデー」(WEB版)は、「暗い秘密が暴露されたわけでもなく、刺激的な告白があったわけでもなく、謝罪があったわけでもない」と書き出し、「メジャーリーグ最大のスター大谷翔平は、月曜日の午後ドジャー・スタジアムで12分間、大勢の記者とテープレコーダーの前に座り、少しも緊張することなくただ単に騙されたのだと語った」と伝えた。
「大谷のブランドは非常に大きい」
同紙は続けて、違法賭博への関与を完全否定した大谷が、水原氏の賭博を知っていた場合は「MLBコミッショナーが罰則を科す権限がある」とした。
もっとも、「ただ、野球には賭けていないとされているため、罰金以上の処分は科されない。しかし、仮に大谷が罰金を科されたとしても大谷の評判が落ち、ワールドシリーズ制覇を目指すドジャースに水を差すことになるだろう」との見解を示した。
ドジャースは2020年シーズンのワールドシリーズ制覇以降、3年連続でポストシーズンを敗退。ワールドシリーズに駒を進められていない。
スポーツ紙などの報道によると、大谷は会見で、自身の口座からブックメーカーに対して、誰かに送金を依頼したことがないことを説明。そのうえで、「結論から言うと、彼(水原氏)が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ皆に嘘をついていたというのが結論」と語ったという。
「USAトゥデー」は、このような大谷のコメントを受けたうえで、球団の「立場」に言及した。
ドジャースは23年オフにロサンゼルス・エンゼルスをフリーエージェント(FA)となった大谷を10年総額7億ドル(約1015億円)で獲得。契約総額は、プロスポーツ史上最高だった。
記事では「ドジャースとしては、大谷の発言によって、捜査が大谷ではなく水原に集中しているというメッセージが明確に伝わったことを期待している」とした。
続けて、「大谷のブランドやイメージにダメージが残るかどうかはわからない。大谷のブランドは非常に大きなもので、ドジャースの関係者はチケットの売り上げ、マーチャンダイジング、広告などで大谷はフランチャイズにとって約5000万ドル(約75億円)の価値があると考えている」との見解を示した。
米国の開幕に先立って韓国ソウルシリーズで幕を開けたドジャース。チームは29日(日本時間)に、ホーム・ドジャースタジアムでセントルイス・カージナルスと対戦する。