神奈川県は2024年3月22日、食品会社から寄付された冷蔵・冷凍のロス食品を子ども食堂に届ける取り組みを始めると発表した。具体的には、県内の食品の製造工程で発生する規格外の品を食品会社から引き取った上で、福祉施設等へ無料で提供する団体「フードバンク」と連携し、地域の食品配布拠点を通じて、県内全域の子ども食堂等に提供する。県によると、こういった取り組みは全国初。取り組みが実現するまでの経緯を聞いた。
切り落とし肉やハム、ソーセージなどが寄付される
取り組みは、県と中核的フードバンク「フードバンクかながわ」、「セカンドリーグ神奈川」「報徳食品支援センター」が連携して展開する。
子ども食堂に冷凍、冷蔵のロス食品が届けられるまでの流れはこうだ。食品会社が販売できなくなった肉や加工食品が、中核的フードバンクの冷凍倉庫や県内13か所の食品配布拠点に送られる。その後、県内全域の子ども食堂等へ配布される。
食品を寄付する会社はニチレイフレッシュプロセス、横浜食品サービス、フリーデンの3社。
ニチレイフレッシュプロセスは、切り落とし食肉で販売できないものを提供。横浜食品サービスは、賞味期限が近くなり販売できなくなった鍋具材などの海鮮食品、フリーデンは賞味期限が近くなり販売できなくなったハムやソーセージなどの加工肉製品を、それぞれ寄付する。
寄付の頻度はニチレイフレッシュプロセスが月2回(1回につき100~150キロ)。横浜食品サービス、フリーデンはその都度寄付するとしている。
フードバンクから相談を受けたのが発端
県政策局いのち・未来戦略本部室SDGs推進担当課は3月26日のJ-CASTニュースの取材に対して、取り組みが始まるまでの経緯を次のように説明した。
「フードドライブ(お米や缶詰等の常温品)を推進してきた中で、子ども食堂からは生鮮品や冷凍品が欲しいという声を聞いていました。一方で、冷凍・冷蔵品の食品ロスを削減したいという企業側からの声も聞いていました。そうした声を聞いたフードバンクからご相談を受けたのが発端です」
ロス食品の具体的な削減量について試算していないとしている。
この他にも、冷凍食品を希望する子ども食堂に対して、衛生管理に関する研修会や冷凍庫の整備も行っていきたい考えだ。