「自分が本当にやりたい仕事が何か、わからない!」 就活で悩みぬいたZ世代・学生が「漠然とした志望動機」に自信を深めたワケ(1)

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いまは、自分のやりたい仕事かなんて、わからなくていい

   そこで私は、訪ねてきた彼女に、次のように話しました。

まだ働いてもいない学生の今、やりたい仕事がはっきりわからなくても、全然かまわない。だから、そんなに心配しなくてもいいんだよ。

情報過多で変化の激しい時代。40代や50代のベテラン社会人ですら、「自分は、本当は何者か」「何が本当に一番やりたいのか」わからない人のほうが多いくらい。本当にやりたいことなんて、簡単に見つかるものじゃないんだ。

キミたち学生は、可能性の塊だ。これから社会に羽ばたいていくための、スタートラインに立ったばかり。行動していく中で、ご縁と出会いから就職先は見つかっていくものだから。就職後に目の前の仕事に一所懸命に取り組む中で、さらなる仕事や人との出会いがある。それを通して仕事の本当の面白さを知ったり、自分の本当の関心に気づき、才能を開花するようになっていくんだ。

キャリアの語源は、車輪が通った後にできる「轍(わだち)」。日々仕事をしている時には気づかないけれど、3年、5年、10年と働いた後に振り返ってみて、はじめてくっきりと見えるもの。「自分は、実はこういう仕事が好きだったんだ」「こんな特技や、持ち味があったんだ」と後付けで気づくもなんだ。

だから、今、やりたいことがはっきり見えなくてもかまわない。

むしろ、自分が直感的に関心を持った企業や、会社訪問で出会った企業の中で、「この会社でなら、ワクワク働けるイメージがわいてきた」「こんな魅力的な先輩たちとなら、一緒に働いてみたい」と思うことで会社を選んでもいいんだよ

   このような私の話を聴きながら、その学生は途中から涙を流していました。

   決められたスケジュール内で、人生が左右される大きな決断をしなければならないという就活のプレッシャーから解放され、鬱積していた緊張と不安も和らいだからでしょう。

   「なんとか頑張ってみます...」という彼女を再度励まし、相談を終えたのでした。

   すると後日、この大学生から感想メールが届きました――。<「自分が本当にやりたい仕事が何か、わからない!」 就活で悩みぬいたZ世代・学生が「漠然とした志望動機」に自信を深めたワケ(2)>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。近著に、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)。

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