再生可能エネルギーの導入のための規制見直しを目指す内閣府タスクフォースに提出された資料に中国企業のロゴが埋まっていたことが波紋を広げている。ロゴ入り資料は経済産業省や金融庁のウェブサイトでも見つかった。
金融庁は資料をいったん削除。「特定企業の透かしが入っていたことに関する事実関係について、資料提出者に説明を求めていきます」という説明を追加するなど、対応に追われている。
「中国企業の透かしが入っているとの問い合わせをいただきました」
騒動の発端となったのは、再生可能エネルギーの普及推進を行うための公益財団法人「自然エネルギー財団」の事業局長・大林ミカ氏が作成した資料だ。自然エネルギー財団は内閣府タスクフォースの民間構成員でもある。
資料は2050年までのカーボンニュートラルの実現に向け、23年12月25日と24年3月22日に開催された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」の会議で配布されたもので、資料の一部に中国の国営電力会社「国家電網公司」の透かしロゴが入っていた。同社は世界最大の電力会社で、再生可能エネルギーを扱っている。
この問題は経産省や金融庁のサイトでも起きた。例えば金融庁サイトに掲載されていた「脱炭素に向かう世界 加速するエネルギー転換と日本」では、資料の最終ページの右上に透かしロゴが入っていることを確認できる(25日14時時点で削除済み)。
スクリーンショットがSNSで拡散されると、安全保障上の問題や利権などの問題があるのではないかとする指摘が相次いだ。
こうした指摘を受け、内閣府規制改革推進室の公式Xは23日、「昨日開催の同タスクフォース資料3-2、及び昨年12月25日開催の資料4-2について、中国企業の透かしが入っているとの問い合わせをいただきました」として、作成者の大林氏に確認を行ったと説明した。
「大林氏が事業局長を務める自然エネルギー財団の数年前のシンポジウムに中国の当該企業関係者が登壇した際の資料の一部を使用したところ、テンプレートにロゴが残ってしまっていたとのことでした」
財団と中国政府・企業との間に「人的・資本的な関係はない」ともしている。
報道各社には「資料の掲載取りやめについて」と題したメール
金融庁サイトで見つかった「ロゴ入り」資料は、21年3月に開かれた「サステナブルファイナンス有識者会議」の会合に向けて提出された。内閣府のタスクフォースをめぐる問題を受けて、金融庁広報室は24年3月25日、「資料の掲載取りやめについて」と題したメールを報道各社に送信。
「資料提出者(自然エネルギー財団)から、同資料中26ページ目において、誤って特定企業の透かしが入っていたため資料を差し替えたいとの連絡があり、資料の掲載を一旦取りやめましたので、ご連絡いたします」
などと説明した。資料が掲載されていたページにも同様の説明が追加され、資料に透かしが入っていたことに関して、「当該資料において、特定企業の透かしが入っていたことに関する事実関係について、資料提出者に説明を求めていきます」とした。
現時点では、今回のロゴ問題がエネルギーをめぐる安全保障に与える影響の大きさは不明だ。ただ、過去に「自然エネルギー財団」や、大林ミカ氏と関わりを持っていたこと自体が問題になる可能性もある。
国民民主党代表の玉木雄一郎氏は3月25日未明、大林氏と立憲民主党の西村智奈美幹事長(当時)との対談をPRする立憲の22年5月のXを引用しながら、
「立憲民主党も大林ミカ氏の提言を受けて自然エネルギーや脱原発などのエネルギー政策を立案してきたなら、政府同様、外国勢力の影響の有無については自主的に検証すべきだと思う」
と指摘。すでに対談記事は削除されており、
「当時の幹事長との対談記事は読めなくなっているので内容は外部からは知り得ないので」
とも書き込んだ。
先ほど報告がありました。チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます。 https://t.co/dTEnGCMbRI
— 河野太郎 (@konotarogomame) March 23, 2024