昨今、Z世代の間で「ゴシックロリィタ」のブームが起きているという。ゴシックロリィタ、いわゆる「ゴスロリ」は、日本独自のファッションスタイルだ。黒や暗い色を基調としたシンプルな「ゴシック」。そして、中世ヨーロッパの貴族を連想させるフリルやレースを使用し、明るい色を基調とする「ロリィタ」の要素を結びつけた。
ゴスロリファッションは2000年代初期、その要素を衣装に取り入れたビジュアル系バンドから流行したことにより、当時トレンドになった。20~30代の人々が着ていたという。最近の「平成レトロ」で、ゴスロリファッションが現代風に形を変え再流行しているという。
アーティストやアニメ、ゲームの世界観に合わせた服装
J-CASTニュースは、ゴシックやロリィタ服を取り扱うアパレルショップ「ATELIER PIERROT 横浜ビブレ店」を取材した。近年、Z世代にゴスロリファッションが流行していることについて、同店のセールスマネジャーは、アニメやゲームでこうした衣装を取り上げる作品が増え、その影響で身近に感じる人が増えたと指摘した。
また、ここ数年で、ゴスロリを取り入れたアイドルやアーティストの衣装を通じてSNSや各種イベントで目にする機会が増え、以前よりも社会に溶け込んできたとも説明。ゴスロリファッションのファンは、アーティストやアニメ、ゲームなどの世界観に合わせた服装に魅力を感じているという。
ECサイトの普及で商品の種類が豊富になり、どんな衣装か詳細もが明確になったことで、地方在住者も容易に商品を購入できる環境が整ったことも、「再流行」の要因の一つだ。
スカート丈を自分で調節して楽しめる
Z世代に人気の衣装をたずねた。セールスマネジャーは、ゴシックロリィタの中でもワンピースで丈が短く、柄物よりも無地でフリルやレースがあり、色がはっきりしているデザインを挙げた。価格は2万5000円~3万円のものが売れ筋だという。
現在、ATELIER PIERROT で人気の商品は「Bustle Corset Dress」だ。
後ろについている編み上げのリボンで調整し、着用する。実際に試着すると、リボンによるサイズ調整ができるおかげで、「普通体型」の記者でもゆったりと着こなせた。
カラーは、ホワイト、ピンク、ボルドー、パープル、ブルー、ブラックの6色。このバッスルスカート(カラー部分)のスカートも、リボンで引っ張り調整できる。スカートはバッスルスカートとシフォンタイプのスカート、さらに裏地のスカート3枚が重なっているデザインだ。
バッスルスカートの裏にも、リボンがついている。これを絞ると、写真のように、バッスルスカートが華やかなデザインになる。また2枚目についているシフォンスカートは透ける仕様だ。バッスルスカートを下げて着用すると、そうでない時と比べシンプルなデザインになる。
他にも売れているのは、「ヴァレリスPivoineFrill Skirt」、「Diamond Circus Vest One Piece」という商品。いずれを見ても、短めの丈が人気だということが分かる。
「推し色」ファッションでライブへ
「ATELIER PIERROT 横浜ビブレ店」セールスマネジャーに、ゴシックロリィタファッションの「昔と今」の違いを聞いた。
まず、2000年代のゴスロリファッション。当時は、ブランドを統一したコーディネートが完璧なファッションとの概念を持つ人が多かった。一方、今の若い世代は、決まったブランドにこだわらず、さまざまなブランドを組み合わせたコーディネートを着用することに抵抗がない。一方で、ゴスロリファッションを、日本のカルチャーとして楽しんでいる点は、昔も今も共通していると話す。現在は、1990年~2000年頃に比べて売り上げが約7倍増加したと話す。
2000年代には「ロリィタお茶会」というものが催されていた。ロリィタ、ゴシック服を着用し、アフタヌーンティーを楽しむものだ。この点も聞くと、変わらず行われているとの話。
だがそれよりも、「推し活ブーム」の影響が強まっているようだ。好きなアーティストのメンバーカラーを取り入れたゴスロリファッションに身を包み、ライブやイベントに出かけて行くことが多いという。