「二度と買いません」「消費者を馬鹿にしている」――。こうした厳しい書き込みとともに「#不買運動」というハッシュタグを使用した投稿が、SNSで拡散するケースが度々みられる。
2024年3月中旬には、キリンビールの缶チューハイ「氷結」のウェブ広告を受け、「#キリン不買運動」が勃発。少子高齢化問題に関する発言が過去に問題視された、経済学者・成田悠輔氏を起用したためだ。その後広告は、削除された。SNSを中心とする不買運動は、実際に企業の売り上げに影響するのか。
差別発言や「マイナ保険証」でも
不買運動の事例は、前述のキリン以外にもある。化粧品会社のDHCがオンラインショップのサイトに差別発言を掲載したとして、2020年12月中旬に「#差別企業DHCの商品は買いません」がSNSで拡散した。
また、飲料メーカー・サントリーで代表取締役社長を務める新浪剛史氏が23年6月、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に記者会見で言及。マイナ保険証に対する不信感がある中で保険証廃止を推進したとして、「#サントリー不買運動」を使用した投稿が広がった。
J-CASTニュースBizは、『ネット分断への処方箋:ネットの問題は解決できる』(勁草書房)などの著者で、横浜商科大学商学部経営情報学科の田中辰雄教授(計量経済学)に詳しい話を聞いた。
昔の不買運動は、市民運動体が仕掛け人だったという。企業への電話攻勢やマスメディアへの売り込みを行い、不買運動のような抗議が起こっていた。近年では、SNSから自然発生し、市民運動体のような仕掛け人はほとんどいないと説明する。