米メジャー・ドジャースの大谷翔平選手(29)を通訳として支えてきた水原一平氏(39)が突然解雇された問題で、水原氏が違法な賭博で負った借金を大谷選手に肩代わりしてもらったと明かしたと、米メディアの一部で当初報じられ、波紋が広がっている。
その後、水原氏は、肩代わりを全面否定したとされたが、様々な憶測が出ている状況だ。ドジャースのあるカリフォルニア州で弁護士資格を持つ村尾卓哉弁護士に、もし肩代わりがあった場合の問題について聞いた。
「50万ドルの支払いに、大谷選手の名前が記載」と一部で報道
各メディアの報道によると、水原氏は、2021年からカリフォルニア州では違法とされるブックメーカーで野球以外のスポーツ賭博に手を染めていたとされる。米連邦捜査局(FBI)がブックメーカーを捜査している際に、大谷選手の銀行口座からの送金が分かったともされた。
そんな中で、水原氏とのインタビューを行ったのが、米スポーツ専門チャンネル「ESPN」だ。
それによると、水原氏は、ブックメーカーに賭けて負った借金の肩代わりを大谷選手に頼んだ、と同局の取材に明らかにした。同局が関係者に取材した結果、大谷選手の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)がブックメーカーの関係者に送金されたことが分かったという。そして、23年9、10月にそれぞれ送金された50万ドルの支払いに、大谷選手の名前が記載されていたとした。
ところが、その翌日、水原氏は、前言を翻し、大谷選手は借金を知らず、ブックメーカーに送金していないと同局の取材に説明した。大谷選手の弁護士も、大規模な窃盗被害に遭ったと声明を発表した。もしこれが事実だとすると、大谷選手の口座を何らかの方法で操作して送金したことになる。
大谷選手が借金肩代わりをしていたのかの真偽は分からないものの、仮にそうしていた場合、大谷選手も賭博に関わっていたとされるのだろうか。
契約違反とされることは「理屈上は、ありえる」が...
カリフォルニア州弁護士の村尾卓哉弁護士は3月22日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように解説した。
「大谷選手がブックメーカーのかけ金として支払っていたとすれば、理屈の上では、違法の賭博になります。また、メジャーは、選手や選手関係者の違法な胴元への賭博行為を禁止していますので、大谷選手に対して出場停止などの処分もありえます。しかし、賭博のかけ金ではなく、借金の支払いと認められれば、それ自体は賭博行為や賭博行為のほう助にはならないと思います。それでも十分スキャンダラスではありますが、カリフォルニア州でも違法とはならないでしょう」
ESPNの報道によると、23年9、10月に大谷選手の名前でブックメーカーに送金されているが、大谷選手とドジャースの契約については、その後の同年12月9日に発表されている。もし大谷選手が借金の肩代わりをして、そのことを球団に伏せていたとすると、契約違反に問われることはないのだろうか。
この点について、村尾弁護士は、次のような見方を示した。
「契約内容次第ですが、契約違反とされることは、理屈上は、ありえると思います。しかし、現在のところ、球団側が大谷選手を守る立場で動いていますから、現時点で球団が契約違反に問うことはないと思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)