やっぱり罰ゲームなのか 課長の95%はプレイングマネジャーという調査報告...なぜ?自分が活躍したいから? 産業能率大学 経営管理研究所・原義忠さんに聞く「課長の悲哀」(2)

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二軍コーチのように、部下ひとり一人に別メニューを

――課長は、具体的に若者をどう育成すればよいでしょうか。

原義忠さん 一人ひとりを育てる徹底的なプランニング(計画立案)が重要です。

また野球の話でたとえると、プロ野球の二軍コーチになれということです。二軍コーチは選手一人ひとりに別メニューを考えます。

たとえば、二軍投手陣のレベルアップのため、全員の球のスピードを10キロ速くすることを目指すとします。

その際、いまの若者は「タイパ」を重視します。短い時間で大きな効果を上げることを望んでいます。

そこで、もともと剛速球を投げるA選手には筋力アップのトレーニングを、足腰が弱いB選手には徹底的な走り込みを、投げるフォームが硬いC選手には、やわらかいフォームへの改造をと、ひとり一人の個性に合った練習計画を立てます。

――なるほど。それこそワン・オン・ワンによって、それぞれのプランを練り上げるわけですね。ところで、会社側は課長の部下育成力を高めるためには何をすべきですか。

原義忠さん 「大過なく過ごせばいい」といったリスペクトに欠ける冷たい対応をせず、課長が「部下の育成」に前向きになれる環境づくりに努めるべきです。もっと大きな権限を与えて課長のやりがいを引き出したり、課長が自由に発言しても組織の誰からもとがめられない「心理的安全性」を保証したりすることが大切です。

課長を心理の専門職がカウンセリングして、「心理的安全性」が高いか、低いか、職場で自由にものを言えずに悩んでいるかどうか、しっかりケアしてあげることも必要です。

何より、課長が若い世代から尊敬される役職であることを示さないと、「育成効果」があがりません。時間外手当は課長には支給されないので、係長より給料が安くなる課長も少なくありません。

課長になれば給料は減る、忙しさは増す、責任は重くなる、おまけに権限があまりない。それこそ「課長=罰ゲーム」になり、課長は部下から気の毒がられているありさまです。
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