「課長はつらいよ」というため息が聞こえてきそうだが......。
「課長は罰ゲーム」という議論が広がるほど、管理職になりたがらない若者が増えているなか、課長の95%が部下と同じ仕事をこなす「プレイングマネジャー」であるという研究報告が発表された。
課長は管理職ではなく、プレイヤーに生き甲斐を見出しているのか。課長が本来の元気を取り戻すにはどうしたらいいか。報告をまとめた研究者に「課長へのエール」を聞いた。
Z世代は叱られるのもダメ、ほめられるのもダメ
<やっぱり罰ゲームなのか 課長の95%はプレイングマネジャーという調査報告...なぜ?自分が活躍したいから? 産業能率大学 経営管理研究所・原義忠さんに聞く「課長の悲哀」(1)>の続きです。
――ところで、6割以上の課長が、部下の育成力に自信を持てないでいるという調査も悲しいですね。
これは、組織が課長に対する研修などの教育を怠ったせいなのか。それとも「タイパ」(タイムパフォーマンス)や、「コスパ」(コストパフォーマンス)を重視する若者との「世代間ギャップ」のせいなのでしょうか。
原義忠さん まず、20数年前の新人時代に自分が教わった環境と、現在の環境が違い過ぎることが大きいと思います。特に、若い部下の意識が違っています。Z世代では、みんなの前で叱ることはもちろんNGですが、ほめることもNGだと言われます。
たとえば、A君が成果を上げたからと、課長がミーティングの席で「A君にチーム全員で拍手しよう!」と呼びかけたら、Z世代の若者はうれしくないそうです。「恥ずかしいから」と。叱られるのもダメ、ほめられるのもダメ。じゃあ、どうすればよいのか。
――面倒くさい...いやデリケートなのですね、いまの若者は。では、どうすればいいのですか
原義忠さん 「私にだけわかるように、ほめてほしい」のだそうです。向き合って、じっと自分の目を見つめて......(笑)。だからいま、ワン・オン・ワン(=1on1、上司と部下が1対1で行なう面談)が必要なのです。
昔は課長に呼び出されて1対1で話すことなど、何を言われるか、とても怖かったものです。ところが、いまの若い人は「私の話を聞いてほしい」「ひとり一人をしっかり見て欲しい」と、非常に重要視しています。