北陸新幹線延伸、1年半前は西九州新幹線開業 「未完の国家プロジェクト」次の新幹線はどこ?

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   3月16日(2024年)に、北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業した。2015年3月に長野~金沢間が開業し、そこからさらに延伸して敦賀へ、ということだ。

   少し前の西九州新幹線開業のことを覚えている人も多いだろう。2022年9月23日に、武雄温泉~長崎間で開業した。こちらは、この段階ではほかの新幹線に直に接続していないという特徴をもち、いずれ九州新幹線に乗り入れることを前提としている。

  • 敦賀まで延伸した北陸新幹線
    敦賀まで延伸した北陸新幹線
  • 敦賀まで延伸した北陸新幹線

「整備新幹線」はいかに始まったのか?

   1970年5月に全国新幹線鉄道整備法が公布され、田中角栄首相が「列島改造」を掲げている中で、各地に新幹線をという動きが強まっていった。そんな中で1973年11月に整備新幹線の計画が決定した。

   その計画は、2024年のいまとなっても生き続けており、計画自体は未完という壮大な国家プロジェクトとなっている。果たしてこの計画に記された北海道新幹線や北陸新幹線、九州新幹線西九州ルート(現在の西九州新幹線)は、いつになったらできるのかと考える人も多いだろう。

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2022年9月23日、武雄温泉~長崎間で開業した西九州新幹線

   近年、田中角栄は戦後を代表する政治家として多くの人に語られるようになり、そのパーソナリティーだけではなく、著書『日本列島改造論』(日刊工業新聞社)にも示されている政策立案能力の高さも評価され、何かにつけて「角栄、角栄」と言われることが多い。

   都市と地方の格差解消や、各地域の行き来がしやすくなることをめざし、多くの人が各地を往来するような世の中にし、それにより日本を豊かな国にするという構想が田中角栄の中にはあった。

   だが国鉄の経営状態は悪化し、計画は凍結。再開されたのはJRになってからのことだった。

東京と札幌が新幹線で繋がる日

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日本各地に新幹線網が完備されるように

   まずは北陸新幹線の一部が「長野新幹線」として開業、その後九州新幹線が2回に分けて開業し、東北新幹線の延伸や、それに続く北海道新幹線の新青森~新函館北斗の開業ということになった。長野新幹線は北陸新幹線に「変身」した。

   そして西九州新幹線の開業、北陸新幹線の延伸開業と続き、日本各地に新幹線網が完備されるようになった。多くの人が新幹線に乗り、各地をひんぱんに行き来するようになり、日本列島の一体性は高まっているのだ。

   現在工事が進んでいるのは、北海道新幹線の新函館北斗~札幌間である。これが実現すれば、東京から札幌まで新幹線で乗り通せば済むということになる。東北新幹線が盛岡までできるまでは、都内から札幌まで鉄道で行くには、どこかで夜行を使わなければならず、青函連絡船で深夜の移動をするというのがもっとも便利なルートとなっていた。現在は日中時間帯だけで移動することは可能になったものの、北海道新幹線が札幌までできれば、所要時間によっては飛行機の利用者を奪えるという状況も発生するのだ。

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東京-札幌が新幹線で結ばれる日は来るか

   だがそんな北海道新幹線も、いつ開業するかはまだわかっていない。2030年度末(2031年の春)に全線開業を計画していたものの、難工事が続き、開業予定は未定となっている。

   この北海道新幹線の工事が、実は整備新幹線で行われている現在では唯一の工事となっている。

   2030年代のどこかで北海道新幹線は札幌まで到達するものの、具体的にいつかははっきりしていない。

   その後のこととなると、決まっていないことが多い。

見通しが立たない計画

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東海道新幹線

   西九州新幹線は、九州新幹線鹿児島中央方面との分岐点である新鳥栖から武雄温泉まで、どのルートで建設するか、いまだに決まっていない。そもそも、沿線自治体の佐賀県自体がフル規格新幹線の整備をしぶっている。

   北陸新幹線の敦賀駅では、将来の延伸に備えた設備が設けられている。小浜市、京都市を経て京田辺市を通るルートで建設することが決まっているものの、建設費の高額さや自然環境への影響で反対の声も大きい。

   どちらも、まだ着工すらしていない。着工できる状態にない。

   見通しが立たない整備新幹線計画、このまま未完で終わってしまうのか、という気がしてならない。みなさまが生きているうちに、日本各地に新幹線網が完備されている様子を見られる、とは断言できない状態である。(小林拓矢)


筆者プロフィール

   こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。

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